nishi.org 西和彦のコラム

西和彦のエッセイ

#122 中国・ロシア・アメリカの考える北朝鮮分割の条件を考えてみた

2017-11-24

Googleで「北朝鮮分割」と検索して出てくる記事があまりにいい加減なので、もう少しましな案を考えてみた。

各国の譲れない条件の予想
ロシア 韓国もしくはアメリカと国境を共有すること
中国 日本海に面して船が出入りできる港
アメリカ いうことを聞かない韓国でなくアメリカの国土がユーラシア大陸にほしい

これらを満足する地点は北朝鮮で日本海に面した大きな川の北側と南側をロシアとアメリカが抑え、その川の上流に中国が場所を確保できるところであろう。

北朝鮮の首都の平壌は韓国のものにも中国のものにもロシアのものにもならないであろう。おそらく関係諸国の分割統治になって、昔のベルリンのような街になるのではないか。北平壌と南平壌と西平壌と東平壌なのであろうか。ベルリンのような値打ちを関係者が感じないならば分割はされないであろう。

#121 ロボットの未来 - 人間の形をしたロボットの開発をやめるべき

2017-11-24

1975年から42年間ロボットの進化を見てきた。早稲田大学のロボットはWABOTといって、加藤一郎教授の研究室で開発されてきた。私はその研究室で加藤先生に「君はロボットを 制御するコンピューターをやりなさい」といわれ、ロボット研究室なのにコンピューターの世界にはいった。ハードディスクコントローラーをミニコンにつけたり、ロボットのコントローラーとしてのマイクロプロセッサーとかモーターにマイクロプロセッサーを埋め込んだインテリジェントモーターなどを作っていた。メカとしてのロボットと人間と日常の関係を持ったロボットの姿も考える対象であった。1997年にロボットの未来シンポジウムの実行委員として機械学会でロボットのあるべき姿について国際シンポジウムを企画した。

その時の結論として「人間の姿をしたロボットの開発はやめるべきだ」というのがあった。いわゆる「ターミネーター」である。ロボットが無限エネルギーを持ち、殺人をプログラムされたらどうなるだろうか。人間にはたとえ殺人鬼でも人の心はある。しかしロボットにはバランスのない殺人だけのプログラムが搭載されれば、そのロボットは永遠に殺人を続ける。人間からその一部を取り出したロボットは人間と同じ形にするべきではないのではないか。

ソフトバンクが「ペッパー」という対話型キオスクのロボットといって売っている。300億円の累積赤字を作ったそうだ。「あれはロボットではない」というひとも多い。そうしているうちにGoogle傘下のロボット開発会社も買ってしまった。金額が公表されていないところをみると、Googleはソフトバンクにただで譲ったのかもしれない。日本でデモの展示会が先日行われたという報道があった。ホンダのロボットを動作をよりリアルタイムにしたような感じの人間型ロボットが出ていた。犬のように四つ足で動くロボットもあった。この四つ足の上にペッパーの上半身を乗せれば「ペッパータウロス」という名前のロボットになるのであろうか。それはないだろう。

ファナックが作っているような人間の手を進化させたものや、医療手術ロボットのダヴィンチのような、単機能ロボットは確かに成功している。人の能力の外延を拡張する機械は電話であれテレビであれVRであれ成功してきた。人間の手を拡張する機械と、人工知能を積んだ自律型ヒューマノイドでは本質的にまったく異なる機械である。ソフトバンクが人工知能とロボットで未来を提案するというビジネススタンスに疑問を感じる。何百億も赤字が出てもビジョンファンドがあるから大丈夫なのだろうか。

#120 卵を食べて120歳まで長生き

2017-11-15

最近90歳なのにどう見ても70代にしか見えない人にあった。ご婦人も70代のような感じである。 「若さを保つ秘訣がなにかあるのでしょうか」と聞くと、「毎日卵を五つ食べています」ということであった。 夫婦そろって若いということは共通した何かが原因で加齢が進んでいないのであろうと想像した。

卵はタンパク質スコアが最高の食物である。卵が体のなかで分解されてアミノ酸や核酸になる。 核酸のATGCが十分にあるという状況が細胞分裂のときに必要なのだそうだ。 これがない人がいた。ベジタリアンだったスティーブ・ジョブズである。 DNAのコピーミスによって発ガンしてしまった。逆にコピーミスの低いDNAがたくさんあれば、 細胞はそのもてる寿命いっぱいまで生きることができる。 70年以上豊富なタンパク質環境でDNAのコピーエラーが少なかったことが長寿と若さの理由であるような感じがした。 私はいままで卵を朝一つしか食べていなかったが、とりあえず三つ食べることにした。 仮説だけではなく実際にこのことを検証してみたいと考えている。

#119 トランプ大統領 アジア歴訪の旅

2017-11-15

建前だけの記者発表をベースにした新聞とテレビの報道にはほどほど愛想がつきた。テレビのコメンテーターはほかの番組や新聞やインターネットを見てコメントしているのが丸わかりである。 夜のニュースショーはほんとうにショーであった。 私は私なりに建前としての報道発表以外に話し合われた内容を想像してみた。 今回の訪問のハイライトは何と言っても中国がアメリカに莫大なビジネスを与えたことの代償はなにかということである。 それは二つあるのではないかと想像する。

一つ目は、韓国からアメリカ軍が撤退してほしい。
二つ目は、南シナ海からアメリカ軍がいなくなってほしい。
と、いうことではないだろうか。あんなにたくさんのビジネスをもらっていて、 それでも韓国と南シナ海に居座るというのはどうなのであろうか。

韓国のトランプ大統領に対する無礼と中国の動きは呼応する。ベトナムとフィリピンは中国に蹂躙されてきた。 それらの国を回ってアメリカのスタンスをそれぞれの指導者に伝えようとしていたのではないか。

まさかたくさんの注文をもらって韓国とベトナムとフィリピンを見捨てる判断をしたのではないことを信じたい。

日本はアメリカの言うことならなんでも聞くと思われているみたいだ。たしかにそのとおりであるが、 アメリカが日本にアメリカの代わりに戦争しろと言ったら日本は戦争をするのであろうか。 アメリカは中国と遠く離れているからいいだろうが、日本は中国に地理的に近い国である。 663年の白村江の戦いで当時の日本は唐と新羅の連合軍と戦い、負けて北九州は唐に占領されることになったという。 今もし中国と日本が戦って負ければ日本は間違いなく中国に占領されてしまうだろう。 そのときにアメリカは日本を守ってくれるのか。

韓国はアメリカを切って中国と仲良くすることを選んだみたいだ。そして韓国と北朝鮮が合併でもしたら、 統一新羅みたいなもので、その次は南北合併した新国家と中国は対立するのであろうか。

北朝鮮の問題は、北朝鮮の問題ではなく、アメリカと中国の代理戦争であると考えたほうがよいだろう。 もともと北朝鮮と中国は仲が良かったのだが、現在の国家主席になってから関係はよくないみたいだ。 胡錦濤と仲よかったから習近平とはうまくいかないのであろう。 だから北朝鮮はロシアにかけこんで、ロシアもそれをサポートしている。 好き嫌いの問題ではなく、ロシアは韓国に向かってパイプラインを引きたいだけなのではないか。 中ソ北の国境を南に持ってきたいだけではないだろうか。

私は日本は100パーセントアメリカの言うことを聞きながら、ロシアとの関係も中国との関係も大切にするべきではないかと思う。 しかし、ロシアとの決済にも米ドルを使うべきだし、中国との決済にも米ドルを使ってアメリカ経済圏に日本がいるということは逸脱してはならないと思う。

アメリカと中国とロシアの間で振り回されている韓国と北朝鮮が気の毒である。その意味で日本の戦後の安全保障政策は正しかったと言える。

敵の敵は味方という。アメリカの仮想敵国である中国の敵である国はインドである。インドは中国と国境紛争を抱えている。これからアメリカと日本の同盟国としてインドも注目されるであろう。 マスコミは友好国という表現を使う。フレンドという英語の訳は友達だけではない。味方という意味もフレンドにある。日本の報道を読むたびに原文がなにかを考えながら読まないとその本心はわからない。

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