nishi.org 西和彦のエッセイ

政治・経済・社会

#115 クーデター後の二つのシナリオを考える

2017-09-26

アメリカはクーデターを待っているのであろう。ひょっとしたらお金をばらまいたり成功した人に賞金を払うとこっそり約束しているのかもしれない。そのあとがどうなるのかについて考えてみた。

可能性は二つある。
一、中国、ロシア、アメリカによって朝鮮半島が三つに分断される。朝鮮戦争で38度線で南北に分断されてもうすぐ70年になろうとしている。これに加えてクーデター直後にロシアが軍を東海岸一帯に侵攻させる。もちろん中国も橋を渡って平壌を抑える。そうすると東経137度ぐらいが北西と北東の境界線になるのではないか。アメリカが38度を北上することはないであろう。この分断は中国やロシアが再び不安定になるまで続くのであろう。
二、韓国と北朝鮮が合併する可能性もある。これは中国が支援しないことを決め、ロシアに南下させないようにし、韓国が一つの半島と無理をして言い出せば可能になる。考えられる国の名前はコリア、つまり「高麗」であるが昔一度使われているので、同じ名前を使うことより
偉大なという意味をこめて「大高麗」や「大韓国」や「大朝鮮」が考えられる。しかし、経済的にブラックホールの北朝鮮を併合するとその結果はまわりにある中国とロシアとアメリカの目論見のまま「大高麗」はおそらく国家破産にまっしぐらなのではないか。IMFが再びそれを仕切るのか、新羅のように中国に助けてくれと泣きを入れ、中国の自治領になり下がってしまうのか。この可能性についても今から研究しておく必要がある。どちらにしても日本は関わり合いにならない方がよいのではないか。

#114 ミサイル実験を考えてみた

2017-09-26

太平洋上でミサイル実験をやるといわれているが、その可能性について考えてみた。結論は太平洋上ではなく、日本海の上でやるのではないかと、考えられる。理由は北朝鮮から核爆弾を搭載したミサイルが、たとえ打てても起爆することが難しいのではないか。大気圏再突入時にミサイルの先端部分が高温になってしまい、核爆弾が燃焼してしまう可能性が強い。未完成のロケットとコンパクト化未完成の核爆弾を使ってあたかもICBMが完成しているように見せるには、ロケットを打ち、偵察観測機に見せかけた航空機で核爆弾を運搬し高高度からパラシュートでロケットの落下に合わせて投下して起爆させることぐらいしか方法がないのではないか。

これから解決しなければならない技術的な問題は、
一、ロケットのガイダンスシステム
二、再突入のアルゴリズムの完成
三、再突入の防熱素材のロケットへの実装
四、安全確実な起爆装置
五、原子爆弾、水素爆弾のコンパクト化

などであろうか。これらについて報道では一切語られていない。次に核爆弾を海洋上空で爆発させるための運搬手段を考えてみたい。

一、ミサイルロケットは最も実用的な手段であるが再突入技術の確立と断熱素材の実装が完成しないかぎり不可能であろう。
二、航空機とパラシュート投下は一番可能性がある。ただし、高度10万メートル以上を飛ばないと日本の領空侵犯にかかるので日本領空を避けて太平洋にでるか、日本海の上で実験をするしかないのではないか。北朝鮮の持っているプライベートジェットで自爆覚悟であれば簡単にできる。偵察観測機のフリをしても可能であろう。
三、潜水艦から発射するミサイルについては垂直発射や水平発射の技術が完成しているとは思えない。ロシアからもらってきたミサイルに北朝鮮製の原爆を積み起動装置を完成させることは今のところ確認されてはいない。戦後75年間に起こった数々の核爆発事故を考えると誤起動事故や不発事故はなんとしてもさけなければならない。
四、船に積んで北朝鮮を出航したら、公海上にでた瞬間に米海軍や日本の海上自衛隊に拿捕されてしまう。出航前に何を積もうとしているのかは、偵察衛星でモニターされている。

結局のところ、ミサイルを打って着弾地域に合わせて航空機で原爆をパラシュート投下もしくは自爆するしか効果的な実験はできないのではないだろうか。日本海にしても太平洋にしても成層圏のジェット気流で核物質がアメリカに運ばれていくことになるだろう。アメリカはそれを中国のPM2.5のように扱わず、北朝鮮による核攻撃とみなすのではないだろうか。これが最大のリスクである。

#113 最近のミサイル報道を見ながら考えたこと

2017-09-05

9月9日に大きな出来事があるといわれている。北朝鮮のICBM発射なのだそうだ。ミサイルのことが論じられているが、あまり出てこない話題がある。それは北朝鮮が実際に打ち上げているミサイルに何が積まれているのかという議論である。ミサイルは打ち上げたら何でその方向が決まるのであろうか。弾頭の中に仕組まれたジャイロと加速度を検出して積分して現在位置を計算する慣性航法システムがどうかということや、上下左右にミサイルの方向を制御するスラスターがどうかとか、秒速10kmで飛びながらGPSの信号を受信してどう修正するのかとか。ミサイルに搭載された電子地図や目的に着弾するための誘導信号はなにで送るのか、などなどの議論はまったくもってなされていない。ロケットモーターが完成して、核爆弾が小型化されただけで大騒ぎをするのは3年ぐらい早くはないだろうか。

アメリカはミサイルを打ち込まれれば必ず報復するだろう。それ以外はアメリカから戦争を仕掛けることはないだろう。しかし、今の大統領は予測不能なひとだから可能性はある。元軍人の国防長官や国務長官や大統領補佐官が支配している限り、アメリカは準備をして第一撃を待っているのだろう。

北朝鮮のミサイルはアメリカや日本の方向ばかりに向けられていて、中国やロシアの方に向けられたことは一度もない。なぜこのことを人は疑問に思わないのだろうか。私は北朝鮮のバックに中国とロシアがいると考えざるを得ない。たとえば中国は北朝鮮の有事でアメリカの味方をしてほしかったら南シナ海と韓国から撤兵せよぐらい注文をつけるかもしれない。ロシアはアメリカの味方をして北朝鮮が負けたあかつきには北朝鮮を半分ぐらいにロシアにくれ、という要求をしてもおかしくない。またアメリカは北朝鮮に資金を供給し続けている中国の銀行を潰すと脅かすことなんてもうやっているかもしれない。いずれにしても北朝鮮の有事は北朝鮮の問題というよりもアメリカと中国とロシアの代理戦争の様子が明らかになってきたような気がする。

誰もが考えるベストなシナリオは北朝鮮内でのクーデターであろう。万一そのような事態になったときトップを失った北朝鮮はどこに助けを求めるのであろうか。一、中国。二、ロシア。三、韓国。助けを求められた中国はそれに応ずるであろうか。助けを求められた韓国は、太陽になって北朝鮮を助けるであろうか。私は第一ラウンドは北朝鮮の助けをどの国も拒否するのではないかと思っている。そして舞台は国連に移るのではないか。第二次世界大戦の戦勝国連合の安全保障理事会の永久メンバーであるアメリカとロシアと中国が軸になって経済のブラックホールをどうするかという交渉がなされるのではないだろうか。中国にはブラックホールに吸い込まれたら自分が危なくなるという危険の意識はあるだろうか。韓国が自分だけで助けると言った瞬間に国家破産になるだろう。ロシアは最後の最後に白黒を決する投票権を行使するだろう。どちらにしても先手を読み攻めることを行った国が勝つのであろう。最近の将棋でもこの戦略は正しいと証明されている。

#111 インド/中国/ロシア 対 アメリカ/日本/台湾の枠組み

2017-07-04

北朝鮮がとうとうICBMの技術を完成させたようだ。40分間飛行することができる大陸間弾道ミサイルを打ち上げてみせた。あとは偵察衛星に小さな原子爆弾頭を写真に撮ってもらって、地下実験を1回やるだけで完成である。これができてしまえば北朝鮮は今までの北朝鮮ではない。核保有クラブのメンバーになることができる。日本なんて雑音の一つになってしまう。本稿では北朝鮮がきっかけで核戦争がおこったあとの枠組みについて考えてみたい。

アメリカの今までの戦争のパターンを分析してみると必ず敵に第一打をさせるように追い込んでいく。そして新聞テレビが「アメリカがやられた」という報道をして議会で大統領が演説をし議会の全会一致で戦争開始となる。北朝鮮のICBMがどこを狙うのかということはあまり大切なことではない。どこを狙ってもアメリカにとって正義の戦いの理由になるだけである。

核を使えば核で必ず相互破壊が行われる。アメリカは広すぎて全滅しないが、北朝鮮は全滅するであろう。韓国も道連れだ。その戦争がおわったあとの朝鮮半島を支配する国はどこであろうか。私はそれは中国とロシアとアメリカが北朝鮮を分割し、韓国は依然として韓国であると考える。今、38度線で半島は分断されているが127度線で東西にも分断されるようになるのではないか。667年に唐によって高句麗が滅ぼされたときにはその後を新羅が統一したが、今の韓国にはそのような力はない。つまり高句麗のあとには渤海もなく、ただ中国やロシアやアメリカによる占領しかないのだ。127度線よりも西はもちろん中国。127度線よりも東はアメリカとロシアの取り合いになるのではないか、と予想する。つまり朝鮮半島全部が中国とロシアとアメリカの緩衝地帯になるのである。またアメリカはロシアを味方につけるために制裁解除を行い、占領地を山分けすることになろう。このどさくさに中国は軍隊を進め平壌を占領し、さらには38度線を超えてソウルも占領されるであろう。日本は何もできずに米軍の補給センターとして戦争で一儲けも二儲けもする企業の株式が暴騰するのであろう。ひょっとしたらこの戦争の兵站基地としての日本を叩くために北朝鮮のICBMの目標は日本の軍事的な港が一番考えられるかもしれない。横須賀である。まぁここまできたら、生き延びることなんて諦めるしかない。このホームページのホスティングをアメリカに移して核戦争で滅ぼされた後でもこのホームページが世間様に読んでもらえるぐらいしか我々に残された選択はない。

#110 北朝鮮とそのあとを考える

2017-06-20

新聞テレビインターネットで北朝鮮問題が報道されている。それらを聞いていてほとんどすべての報道に違和感を感じる。しかし、私は専門家ではないので、私なりの分析をして、それを説明したい。

その1 アメリカのしそうなこと
シリアに化学兵器を使ったといって、ミサイルを50発撃ったこと。このことからアメリカは北朝鮮が韓国に対して化学兵器を使ったら、山ほどのミサイルを撃つぞというシグナルをおくったのではないかということ。

その2 MOAB(超大型爆弾)の使用
地下50メートルまで到達する大型爆弾をアフガニスタンでISの拠点に投下した。わざわざ今どきこんなことをするのは、この爆弾を3発使えば半径2メートルの精度で地下150メートルの地下壕に到達することが可能である。ということは小学校の掛け算の問題である。平壌の地下鉄の駅のどこかが防空壕になっているのであろう。アメリカはそんなことをしても無駄だというシグナルを送りたかったのであろう。

その3 アメリカ軍集結の理由
航空母艦2隻をはじめとする第七艦隊機動部隊が日本海に集結していたそうだ。おそらく米軍の原子力潜水艦ミシガンを筆頭に十数隻が日本海に集結していたのであろう。これは北朝鮮のターゲットに対してトマホークミサイルを数千発同時攻撃するための布陣ではないかと私はみている。数千箇所のターゲットを同時攻撃しなければ反撃としてソウルが火の玉にされてしまう。一瞬にして北朝鮮の反撃能力を撲滅するだけの第一撃が必要になるのであろう。現在は戦闘態勢は解除になっているようだが、攻撃地点の緯度経度情報はトマホークにプログラムされたままであろう。アメリカとしては在庫処分をそろそろしなくてはならないときになっているので、一石二鳥なのであろう。



つまり北朝鮮の状況は日本がどうのこうのいう状況ではなく、中国とアメリカの問題であり、ロシアとアメリカの問題であるのだ。日本はただただアメリカ側についてうろうろしているだけのことである。日本が真剣に軍事介入をするのであればトマホークミサイル5000発ぐらい用意しなくてはならない。

この機会に日本を取り巻く地政学的な国際情勢を考えてみた。国連報告者がどうのこうのといっているが、まったくナンセンスである。それを報道するマスコミの気がしれない。国連は第二次世界大戦の戦勝国の集まりであるので、安全保障理事会の常任理事国のグループがどうなっているのかがすべてである。つまりアメリカとヨーロッパの同盟国、ロシア、中国がその三本軸である。そうすると21世紀の最大の課題はユーラシア大陸の東の部分でお互いに接する三つの大国の挙動が一番大きなテーマになるだろう。インド、中国、ロシア、この三国の対立とそれに対するアメリカのスタンスが21世紀前半のテーマになるだろう。日本はアメリカの同盟国としてどうしていったらいいのか、がテーマになる。台湾は中国の一部になるという選択か、アメリカのグループに入るという選択肢しかないだろう。日本の運命に似ている。韓国は北朝鮮と民族的に近いので統合する可能性は考えられなくはないが、朝鮮半島に突きつけられる究極の選択は、中国につくのか、ロシアにつくのかということであって、そのどちらでもないといってアメリカにつくことは中国もロシアも許さないであろう。

ということで、北朝鮮問題よりも重要なのが中国とインド、中国とロシアではないだろうか。これに対してアメリカのスタンスはどうかということのほうがはるかに大切ではないだろうかと、考えている。

#101 アメリカと中国の関係の行き着く先と日本のスタンス

2017-04-19

38度線へのアメリカの副大統領の視察やフロリダでの中国主席とアメリカ大統領の2日に渡る長時間の会合などから、世界はアメリカと中国が二分しているといっていいだろう。北朝鮮問題もこの前後関係のなかで捉えなくてはならない。ロシアの問題も、アラブの問題も同じである。

この問題の本質はリアリズムの究極の結果としての武力戦争ということではなく、リベラリズムの結果である経済戦争がその勝ち負けを制するものと思われる。大国の間においては核攻撃による相互完全破壊はどこかの占い師も言っていたようにここ100年くらいは絶対に起こらないようだ。しかし暴発の危険性や意図した自爆の可能性は必ずある。その犠牲になりたくないものだ。

経済戦争という視点でアメリカと中国を見ると、外貨準備高が急速に縮小している中国は危険である。しかし、大暴落が起こっても国家権力を活用すれば持ちこたえることができる。我々はこの大暴落防止をすでに2回みた。あと少なくとも5回は中国は大丈夫だろう。そのあとは大変なことになる。アメリカはあと何回なのかという中国の本当の体力がいかにあるのかを経済学者や銀行証券会社を動員して研究中なのであろう。

日本はどうか。もちろんアメリカと中国が風邪を引けば日本はくしゃみどころではない。日本も風邪を引くのだ。そして肺炎を起こして間違いなくアメリカよりも先に破綻する。日本の政府は誰がこのことを考えてくれているのか。今の政府は表面的には北朝鮮問題にもシリア問題にも中国問題にもニュースには本質的な情報は流さないのがやり方のようだ。国民をバカにしている。右翼ならばよいみたいな雰囲気があるが、右翼の国際政治方針は何なのであろうか。鎖国ではないだろう。

日本にも総理大臣がアメリカ大統領と何日も討議できるようなアジェンダを準備することのできるシンクタンクが必要なのではないか。ワシントンにはそのようなシンクタンクがちょっと数えてみても10以上ある。北京にもそういう組織が存在しているのであろう。日本にはXX総研という株式会社はたくさん存在しているが、ちゃんと仕事をしているのであろうか。私は傍観者として日本がしなければならないことはちゃんとされていないと思うのであるが、それが私の杞憂であってくれればいいのだが。

#100 北東アジアの地政学

2017-04-19

アメリカのペンス副大統領が韓国側から韓国と北朝鮮の国境である38度線を視察された。最近のアメリカと北朝鮮と中国の事態について政治色を抜いて純粋に各国のこれまでの思惑を分析しながら考えてみた。

アメリカが北朝鮮に先制攻撃をするだろうか。今までのアメリカの戦争の歴史はそうではなかった。アメリカは日本がしたようにどこかの国がアメリカに対して戦争を仕掛けたときにそれを理由に議会が戦争の開始を決議し、国民はそれを支持するということを繰り返しやってきた国である。そのことを考えると北朝鮮がアメリカに第1撃を加えることをアメリカは待っているのではないか。

サダムフセインの場合はどうかというと、サダムフセインは石油の決済をドルからユーロにシフトしようとした。これがアメリカの逆鱗に触れたのであると思う。つまり石油決済通貨がユーロにシフトすることでアメリカのドルが大きな打撃を受けるということである。これだけは何としても防ぎたかったのではないか。北朝鮮のいたずらはドルの偽札を作ったことであるが、優れた偽造防止の技術を使ってこの問題は過去のものとなった。

次の問題はICBMと核爆弾の開発である。北朝鮮が核爆弾とICBMを持っていけない理由は、アメリカは、北朝鮮の指導者が今までの国際ルールにしたがって政治を行うものではないと判断したことではないだろうか。前の世代の北朝鮮と中国の関係はよかった。中国の主席が江沢民の時代である。現在の中国の主席は江沢民派とは対立関係にある。つまり現在の北朝鮮と中国との関係は決してよいものだとはいえない。北朝鮮のほとんどの物資の供給は中国に依存しているのだが、それがいつ何時停止するかもしれない状態にあるのではないだろうか。それをアメリカはさらに中国をつついて北朝鮮の物資の供給を全面的に停止することを要求しているのはないか。つまり、中国がサポートしない限り北朝鮮は戦争はできないのである。そうすると残ったシナリオは、アメリカに対して核爆弾で自爆をするか、それとも北朝鮮でクーデターが起こる可能性をアメリカは待っているのではないか。だからクーデターの可能性は根こそぎにしたいのだ。中国に近いナンバー2を粛清したのも異母兄を粛清したのもクーデター一派にクーデターの正当性を与えるようなリーダーを生かしてはおけないということなのであろう。

トランプ大統領がシリアが化学兵器を使ったことに対して巡航ミサイルを59発も打ち込んだということのメッセージはアメリカの海兵隊が北朝鮮に侵入したときに化学兵器を使えばアメリカは必ず報復するというメッセージではないだろうかと予想する。

アメリカが援助しなくても援助してもクーデターが起こって、それに乗じてアメリカ軍が北朝鮮に兵を進めてもはやこれまでとなったときに核のボタンは押されるだろう。それは世界大恐慌の始まりのボタンではないか。そのあとアメリカと中国が38度線でにらみ合いを続けることになる。

#92 カリフォルニアの独立を考える

2016-11-29

イギリスがEUを離脱することになった。アメリカはカリフォルニアがアメリカから独立したいといっているそうだ。カリフォルニアがいっているというのは、カリフォルニアで独立に賛成をする人が増えているということである。しかし、アメリカ合衆国の一つの州であるカリフォルニアは独立することがはたしてできるのであろうか。

アメリカの学校では朝、胸に手を当てて米国の国旗に向かって忠誠を誓うということがされている。アメリカの一体化の象徴がアメリカの国旗である。アメリカの国旗は白と赤のストライプ以外に星がついている。この星が現在51個ある。この星はアメリカを構成している州を表している。独立当初の東部13州の時代から、ハワイを含む51州にアメリカは成長してきたのだ。もともとアメリカはイギリスの植民地から独立してできた国である。イギリスから独立して国ができたのであるから、その国の基本的な思想の中に州が独立するということ、つまり、アメリカ合衆国を裏切って独立するという可能性も考えてアメリカの法体系はできていると考えられる。
独立のためには合衆国の憲法を変えなければならない。そのために必要条件を満たすことは大変なことで、自由に発言が許される国家であるので、誰が独立を叫んでもアメリカの連邦政府はしばらくは無視をするかもしれないが、実態はそんなものではないのではないだろうか。

それは電話番号のシステムを見ただけでわかる。日本は電話で0を回すと市外通話になる。001を押すと国際通話になる。しかしアメリカは0押すと交換手がでてくる。この違いは日本が島国であって、島国の一部が島国の中で独立をするという発想がない国家だから、0を押すと市外通話になったのではないかと私は考えている。

ところが電話を発明したアメリカは違っている。電話システムは0を回すと交換台につながり、交換手は電話交換以外に電話を盗聴していることが仕事ではないかと言われてきた。つまり電話を使ってよからぬ話をしている輩を見つけ出すというのが交換手の仕事でもあった。いわばイギリスを裏切って独立をした国だから、自分たちを裏切るものが出てくるということがはじめから想定されているのである。それに比べて交換手を減らして減らして市外通話の自動化を開発し続けた日本は、とんでもなくおめでたく平和な国ではないか。

一見自由に見えるアメリカにおいて、州の独立を企む人がどのような目にあうのかは、間違いなく重大な犯罪として処分されるに違いないと私はみている。トランプの最初の2年間はこの独立問題にかかりっきりにならざるをえないのではないか。それでも知恵者がいて独立が成し遂げられるのであれば、トランプはアメリカの今までの歴史に最大の黒丸を残すことになるのではないか。アメリカの敵は、アメリカの外ではなくアメリカの中にいたことになる。その対策にアメリカ政府がエネルギーを取られている間にアメリカが今まで仮想敵国と考えてきた国が自由に動き出すことが心配される。ロシアと中国とイスラムである。

#86 米国の仕掛けるお仕置きの手口

2016-10-03

アメリカに逆らえば殺される、人も国も。以前のつぶやきで書いたが、ドイツが中国と仲良くしすぎたことのペナルティとしてフォルクスワーゲンがたたかれたのはみなさん周知のことであろう。ドイツに対するアメリカのお仕置きはフォルクスワーゲンだけではなかった。アメリカは相当怒っているのではないか。ドイツ中央銀行の問題をアメリカは叩いている。選挙があるのでドイツの政治家は誰もドイツ中央銀行を助けるとは断言できない。事態はもっともっと悪くなっていくであろう。こうなるとドイツが仲良くしている中国にも影響がでるのは時間の問題である。ドイツ中央銀行になにかあればそれがきっかけで中国経済が縮小に向かうことは十分ありうる。

IMFのSDRに中国の人民元が採用されて、ドルに続く大2の世界通貨に中国の人民元はなった。ユーロや円やポンドを一気に飛び越えてである。SDRに選ばれるために中国はこれからもとんでもない量の情報を開示しなければなる。 中国が本当のことを公表すると間違いなく中国の経済はパニックに陥る。中国がこれまで公表してきた事実はみんなウソであるとわかるからである。これが中国に対するアメリカのお仕置きである。

はるか昔日本はアメリカの経済を抜いて世界一を狙っているとアメリカに思われてしまった。「ジャパンワズナンバーワン」という本が出たりして調子に乗った日本の政治家や財界人が好き勝手なことを発言したものだった。そのうちこんなことを言っていたら必ずやられるとそのとき思ったものだ。案の定バブルははじけ、アメリカ資本に日本の業界はズタズタにされてしまって、今は「失われた20年間」といわれている。

ロシアもそうだ。石油の値段が高かったのでロシアは経済的に豊かであったがどうして石油の値段が安くなったのであろうか。それは石油の値段を安くすることによって石油輸出大国であるロシアにお仕置きをしようというアメリカの強い意思ではないかと当然予想される。そういう今の時期にロシアと平和条約を結び北方領土返還を考える安倍政権は大変に勇気ある政権だと言わざるをえない。安倍政権に対するお仕置きがこないことを祈るのみである。

アメリカにたてつく国に北朝鮮がある。ミサイルを作ってミサイル搭載可能な原子爆弾を作っていつでもやってやる、ということは国としての自殺行為に等しいのではないか。20世紀に国家が消滅した例はいくつもある。北朝鮮に対して大国どうしはどのようなにぎりをするのであろうか。マスコミが中国はアメリカが北朝鮮に対して奇襲攻撃をすることを容認したと報じた。アメリカが攻撃をしたあと北朝鮮を中共軍が侵入して支配する。そして朝鮮半島全部を国連軍という名前で一体化する、という話も十分考えられる。

今から30年前私はアメリカのマイクロソフトを辞め、インテルより速いプロセッサの開発と、マイクロソフトの互換性を持ったOSの開発をはじめた。 インテルからは山のような営業妨害を受け、恐ろしくなってアメリカの会社との競争を私はやめた。マイクロソフトとの競争をやめ、ビル・ゲイツと仲直りすることを選んだ。それからアメリカのソフトや半導体の教育をする仕事を選んだ。アメリカ製品を売るときに競争しないでアメリカ製品を売るときの教育をすることが、最終的に到達した究極の妥協策であったのだ。おかげでアメリカには競争相手よりも友人がたくさんでき、その交流は今でも続いている。だから私は親アメリカの日本人の一人であるとみられているとしてもおかしくないことである。

世界の歴史を見ていて大国の繁栄はほとんどは100年で終了している。ベネチア、スペイン・ポルトガル、オランダ、イギリス、しかしイギリスは蒸気機関を発明して産業革命を成し遂げ繁栄をさらに100年延長した。しかしアメリカには勝てず20世紀はアメリカの世紀になってしまった。21世紀はアメリカの世紀であり続けるのであろうか。21世紀はアメリカの世紀であり続けるのであろう。そしてアメリカの次の繁栄は、アメリカと敵対している中国のものになるのではなくて、アメリカの友好的な次の大国のものになるのであろう。それはおそらくインドである。私は日本が未来に向かって存在を続けて欲しいと思う国民として今の日本政府のアメリカ寄りの姿勢を強く支持する。

#85 公人と一般人とでは二重国籍の意味が異なる

2016-09-27

蓮舫議員の二重国籍の問題が話題になっている。この問題は蓮舫議員という属人的な問題と日本における多重国籍の問題にわかれる。

まず、蓮舫議員の問題は日本維新の会が議員立法を考えているように、公職にあるものについては多重国籍を認めないというのが正しいのではないか、と考えている。ただ公職の定義は公務員ではなく、選挙で選ばれる立場の首長や議員にするのがよいのではないか。明治の日本を作るのに大きな影響はお雇い外国人が果たした。だから一概に公務を行う人は日本人だけと規定するのも無理があろう。自民党は一貫して蓮舫議員に対して厳しい発言をしていない。これは民進党ではなく蓮舫議員と自民党のトップが握っているのであろう。

国際結婚が存在するということは多重国籍が存在するということと同じ意味を持つ。この国際結婚が二世代になると、多重国籍を生むことになる。それに加えてアメリカのようにアメリカで生まれた人は何人であってもアメリカ人になる、という制度や、イギリスのようにイギリス人が海外で子どもを生むと一代だけイギリス人。孫をイギリス人にしたいのであれば、イギリスに戻って子どもをうまなければならない、そういう制度の国もある。私は多重国籍を認めることが国際化時代にふさわしい制度になるのではないかと思っている。一般の国民についてはそういう制度でよいのではないだろうか。

今から数百年も前の世の中はパスポートなどなかった。日本書紀に「韓人」という言葉や「唐人」という言葉がでてくる。それぞれの国のアイデンティティはあったようだが、それよりもその人の人物が周りの社会とどう共存していったかということが問われていたような感じである。

世界地図を見たときにとなりの大国中国が大挙して日本に押し寄せ、国籍をとるという大プロジェクトをはじめれば日本なんて一発で中国の属国になってしまうだろう。もしそうなるのであればそれは仕方がない。西暦660年に百済が滅びたとき百済の王族や貴族は日本に数万人という規模で亡命したという。その意味で百済の本流はすでに今の韓国にはなく、百済の本流は日本に亡命してきた百済人にあるといえる。今の日本のかなりの部分が百済人であるという事実を誰も指摘しない。九州の北部は元はと言えば中国からの移民と任那が滅びた後の任那の遺民という可能性もある。また奈良の都には朝鮮半島を統一した新羅の流れをくむ人が多かったと聞く。そうすると日本は従来からの日本人に加えて、中国からの移民、任那の遺民、百済の移民、新羅の移民というグループが存在しているようだ。すでにこういう状態であるのであるから、そういう国民に対してそれがすべてを日本人と呼ぶためには日本で生まれたことが日本人であるという要件に加えて、どんな国の出身であっても、日本で生まれれば日本人であるという考え方をとるということも国際化時代の日本の選択の一つではないだろうか。

#81 北方領土二島返還のシナリオ私案

2016-08-30

日本の領土問題は大きく分けると3つある。最近話題になっている尖閣諸島、中国との紛争。竹島、韓国との紛争。それと北方四島、ロシアとの紛争。この3つの中で一番大きな規模は何と言っても北方四島であろう。この北方四島については歴史的に多くの政治家が取り組んできて、未だに解決にはいたっていない。これを解決するシナリオを考えてみた。私は国際関係の専門家ではないので、現状の二国間交渉については全く承知しないが、お金をたくさん出して島を買うという発想はどんなにお金が欲しくてもロシアは納得しないであろう。北方四島の実効支配のために軍隊をつかって占領するということは馬鹿げている。行き着くところは限定核戦争になるであろう。返還を叫ぶだけとか、お金で買うとかいうシナリオ以外の創造的な解決方法が求められている。つまり外務省の解決では無理で、経済産業省の解決でも無理で、総理大臣の大きな政治的な判断と決心がないと実現は不可能であろう。

ロシアの状況、まず、石油価格が下がったことによりドル資金が欠乏している。二つ目が、クリミア半島の紛争で国際社会から経済的に制裁を受けている。この状況においてロシアはお金を欲しくてたまらないのではあるが、北方四島をお金で買うことはできない。大国としてのロシアのプライドが許せないからだ。私の提案は以下のようなものである。

四島のうち広い土地の国後島と択捉島をフリーゾーンに指定して、そこで大幅な規制緩和を行いロシアと日本で経済協力を行うことはどうであろうか。つまり、まず国後島に工業団地を作って、多くの日本企業を誘致し、フリーゾーンでは、パテントフリーゾーンも作ってロシアの所有している特許と日本の特許を自由に使うことができ、商品を作って、作った商品をロシアと日本に輸出を解禁するというプログラムを立ち上げるのはどうであろうか。 国後島は主に日本企業がフリーゾーンとして使い、択捉島はロシア企業がフリーゾーンとして使う。ロシアの企業と日本の企業が合弁企業をやるというのは賛成しない。それよりもむしろ日本企業もロシア企業も進出しその両方に対して両国の保有する特許を無償もしくは特恵的な条件でライセンスをする取り決めである。

では、この取り組みがうまくいくにはどうするべきか、それはお金である。私は日本政府がこの取り組みに4兆円くらいの資金を充てて、4兆円のうち2兆円はロシア政府が自由に使い、1兆円は国後島、択捉島の企業にロシアが出資し、もう1兆円は日本政府が日本の企業に融通することにすれば、ロシアの企業も日本の企業も北方二島に積極的に進出し、歯舞、色丹島は日本に帰ってくるというようになれば、実質的には四島すべての関係が日本は再構築でき、またこのフリーゾーンでできた製品がロシアと日本の経済活動に与える影響は投下した4兆円をはるかに超える非常に大きいものになり、Win-Winの関係になるのではないかということだ。

この問題を実現させるために考えなければならない問題はまだある。ロシアの気持ちの以外にこの枠組みをアメリカがどう考えるかが重要であろう。クリミア半島の問題でロシアに制裁を行うイニシアティブはアメリカがとっている。ロシアから石油を買わなくなったので、石油の値段が下がっている。ロシアが弱っている状況に対して日本がお金をロシアに渡すことに、アメリカは大きく反発するであろう。しかし、それは金額いくらくらいまで妥協できるのかということが問題になるであろう。北方領土を買うためにロシアにお金に渡すということをアメリカは認めないだろう。しかし、ロシアと日本が特許をベースにした新商品を開発するというプログラムをするということであれば、またそのプログラムにアメリカも何らかの形で参加できるのであれば、アメリカは協力的な態度か、最小限見て見ぬフリをしてくれるのではないか。

こういう枠組みのことを考え始めたら、歯舞諸島と色丹島が返ってくることよりも、残りの国後島と択捉島で行われる共同経済プログラムの方がはるかに大きいと思う。こういうことに日本政府がたとえ5兆円使ったとしても国民は納得するのではないか。また時の政府は戦後70年、沖縄返還に次ぐ、大きな政治的な達成を成し遂げたということに大きく評価するのではないか。9月2日からの東方経済フォーラムのプログラムをそういうことを考えながら読んでいくと、今回の私の私案は実現しそうな可能性があると思う。ソフトバンクの孫さんでもイギリスの企業に3.3兆円もつかっているのだから、安倍さんもロシアとのプロジェクトに4兆円くらい出して欲しいものだ。

#80 TOKYO 2020に向けて

2016-08-23

オリンピックが終わった。オリンピックのまとめのテレビ番組がたくさんあって、それをたくさんみた。もちろんHDDレコーダーに録画されたものをみた。日本の若い世代がこんなにも力強く元気で、世界レベルのアスリートであるということに元気づけられたのは私だけではあるまい。2020年にはオリンピックが東京にやってくる。そのことを考えてみた。

日本は東京だけがバツグンの大都市である。日本人の東京のイメージはいくつかあって、まずは東京の東京というと山手線のなか。しかし、東京区内というと23区のこと。しかし、東京都内をこえて東京圏というとつまり、大ロンドンのような大東京とは、関東平野全部をいうのではないかと思っている。最近は乗らないけれど、関東平野の上をヘリコプターで飛んでみると、どこまでもどこまでも家が立っている。さすがに世界で一番大きな都市であるという実力を感じるのである。今からこの関東平野という膨大なキャパシティを持つ日本に2020年のオリンピックを目指して、莫大な投資が行われる。注目すべきことはオリンピック用に作られる各種の体育設備ではなくそのその設備を結ぶインフラではないだろうか。つまりオリンピックが行われたあとの交通インフラが整備された東京が2020年代の日本の大きな成長の舞台になるのは間違いないだろう。1964年のオリンピックのあとに、東京は進歩を遂げた。同じように2020年代の東京には、新しい世代の日本人と国際化された外国からの訪問者が溢れかえることになるのだろう。東京だけ不動産の高騰はつづくと思うし、ホテル業、飲食業は東京だけ元気が続くのであろう。

もう一つは京都。最近の京都は外国人の観光客の数が驚くほど増えている。不動産の値上がりは東京よりも激しい。京都の人はこれ以上はとても無理というが、買っているのは東京の会社ばかりだそうだ。オリンピックの効果は2020年を目指して京都に及んでいる。

名古屋はどうか。値上がりが一番遅れているのが名古屋圏である。商業ビルとホテルがどんどん建っている。

大阪はどうか。政治的に注目されている大阪であるが、USJだけが元気で、資本は東京からやってきてボロ儲けしているらしいが、その他の大阪経済は元気がない。当分横ばいなのであろう。

結論は、ビジネスの東京と観光の京都がこれからの日本の元気な街になり、あとの地方都市はよくても横ばいで2025年ぐらいまで続くのであろう。だから東京と京都の開発政策と地方の政令指定都市と小規模な地方都市の政策はそれぞれ違ったものにしなければならないのは明白である。一番住みやすいのは東京や京都でなく地方の小都市ではないだろうか。

#75 なぜ景気が悪いのかということについて原点にかえって考えてみた

2016-07-05

それは世の中にものが溢れているからではないか。すべての人がありあまるようなものを持っている。人口が減って不動産も首都圏大都市圏以外は空き家が目立つ。すべてものを持っているから少し古いということさえ我慢すれば、もはや何も買うものはない。だから食料以外のものについては誰も何も買わなくなっていくのは当然である。ではどうしたらよいのか。新聞テレビを使った広告は効率が悪くて、広告はインターネットのピンポイント広告が主流になるだろう。しかしそれでも売れない。結局、大量にものを売るというビジネスモデルを放棄して、インターネットを使ってパーソナライズしたりカスタム化したり、セミオーダー化するような商品しかうれないのではないか。

食料品については大量消費を前提として作られたコンビニ向けの食料品に対する反発がさらに大きくなり、無添加無農薬系の食品や、選ばれたプレミアム食材が売れるようになるだろう。つまり、高級品と安物の差がはっきり出て、たとえ高級品といわれてもそんなに値段が変わらないのであらゆる人たちが高級食材を買うのではないだろうか。その傾向に拍車をかけるのがインターネットでのメディア活動である。そうして世の中はどんどん「今がよければすべてよし」というせつな的になっていく。だから解決策は大量消費をやめることだ。販売価格が高くなっても、消費税が高くなっても生き延びていけるようなビジネスモデルを作っていって、消費が低迷しても企業の利益があがるようなビジネスモデルでのりきるしかない。

#74 イギリスの国民投票 その後2

2016-07-05

#71で「イギリスの脱退はうやむやになって、結局イギリスは脱退しない」と書いたが、EUは「イギリスは出てもらって結構ということでまとまるのではないか」、と思うようになった。またイギリスはEUのメリットを十分享受したのでもうでてもいいと考えているのではないだろうか。国民投票というのは国民から選ばれた政治家が自分の判断を放棄するという愚かな政治行動であると考えるべきであろう。国民は政治家を選び選ばれた政治家の仕事が政治であって国民に政治をさせてはならないのではないか。そういう意味で今回のEU離脱がイギリスにとって悲劇であるならばこの悲劇は長く記憶されなければならない。

ここでEU発祥の原点について考えてみたい。第二次世界大戦が終わった後、二度と戦争をしてはいけないということを考えて、石炭と鉄を統制する組織さえ作れば二度と戦争はできないという考えから石炭鉄鋼同盟というのがうまれ、フランス、ドイツ、イタリアとベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、この6国が中心になってはじまった。 離脱の共同会見で出て行くなら出て行ってくれ、とドイツとフランスとイタリアは三国で揃っていたというのをみてこの背後に石炭鉄鋼同盟のゆかりがあると直感したのである。それに対してイギリスはEUへの加盟を景気が悪くなって時にイギリス病から脱したいということから始まっている。そして今ではEUを十分に利用しつくしたような感がある。イギリスの輸出の60%ぐらいがEU向けであるそうだ。だから歴史を遡ってこの事態を理解しようとすると、EUの原点は平和であり、イギリスの意図は自由貿易である。こういう同盟はうまくいくはずはない。それに東ヨーロッパからの移民に反対する20〜30代と、アラブからの移民に反対する50代以上の反対を顕在化してしまった国民投票を許した政治家が責められるべきではないか。

#71 イギリスの国民投票 その後1

2016-07-01

イギリスのEU離脱について面白い状況がある。イギリス人の言っていることとスコットランド人の言っていることとドイツ人の言っていることとフランス人が言っていることと日本人が言っていることとアメリカ人が言っていることが、皆違っている。つくづくインターネットがあってよかったと思っている。もしなかったらCNNとBBCと日本のNHKと民放ぐらいをみて間違った結論に達していただろう。インターネットによって対象の内からと外からの両方の立場で考えることができるということが大変ありがたいと思った。

でも人と同じようにインターネットで調べて、自分の意見のようにブログで発言するのはイヤだから、イギリス人と、ドイツ人と、イギリスを旅行中の日本人に聞いてみた。もちろん3人は3通りの解説を言ってくれた。私は前のつぶやきで50代以上の人がアラブ系の移民が来てほしくないと言ったが、それだけではなかった。20〜30代の東ヨーロッパ系の移民が来てほしくないと思っていると。東ヨーロッパ系の人は簡単に移民してきてイギリス人の嫌う掃除や単純労働の仕事をイギリス人から奪ってしまった。これに対する強い反発を指摘された。次に、EUという名前を一枚めくるとドイツとフランスが支配する国連みたいな組織で、EUの大統領やEUの委員長はただの官僚みたいなものであって存在感が薄すぎる。イギリス人が大嫌いなドイツ人と大嫌いなフランス人に支配されるのだけはやめてくれという意見もあった。次に、EUはドイツがあってのEUであるので、うるさいイギリスがいなくなるということはヨーロッパ団結の大きなステップになるのではないかと歓迎していたようなところがある。ドイツの政治家の発言は大変慎重ではあるが、これこそ19世紀からゲルマン民族が目指してきたヨーロッパ大陸の支配の完成ではないか、という人もいるそうだ。ドイツの敵であったフランスはナポレオンを最後に国力は縮小の一途をたどった。大陸のナンバー2としてのフランスが死守しなければならないポジションなのであろう。などなど、現在世界中で囁かれているいろいろな会話を総合すると、イギリスは離脱を通告しないと思う。うやむやにして離脱は流れると思う。経済合理性を考えれば明らかである。民意よりも民が選んだ代表者の知恵はそれを選択するのではないか。ギリシャの債務危機のときにどういうことが起こったか、記憶に新しいところである。離脱すると言った国が首相がやめただけで離脱しなかったではないか。離脱するといって国民投票はしたももの、その結果をひっくりかえすことはイギリスの政治家の手の中にある。ドイツとフランスが入れてあげないからといって、イギリスが切り捨てられるのかといえば、そうではないだろう。国民投票のおかげで深刻な経済合理性の考察がなされたとみている。

離脱の結果がわかってもニュースが駆け巡っただけで何も変わっていない。なのに株価などの経済指数は敏感すぎるほど反応した。私はこれはこの騒ぎにこと寄せて儲けようとしていた投機集団がいたのではないかと考える。同時に為替で儲けようとしたヤツを誰か調べてとっ捕まえてほしいとはいわないが、儲けたヤツを調べて晒してほしい。謹んで「投機家」という名前を差し上げたいと思う。日本のどこかの経済団体のトップが「ナショナリズムを慎め」というような発言をしておられて笑ってしまった。ドイツとフランスの発言の方がナショナリズムっぽくないか。

経済合理性の話ばっかりをしてきたが、EUの各国の間でEUに対しての愛国心はあるのであろうか。EUの愛国心を作るためにはEU以外に仮想敵国が必要なのではないか。それがアラブなのであろう。官僚のようなEUの大統領と委員長、ぜんぜん姿が見えないEU議会の議員、それらを考えるとEUの名前自体を再定義した方がよいのかもしれない。もとに戻して「EEC(ヨーロッパ経済共同体)」か。国が集まって新しい国になるのか、国同士が条約によって連邦になるのか、NATOのような軍事同盟になるのか、枠組みも再定義を迫られるのではないか。1648年のウエストファリア条約によって主権国家を規定するものは「領土」と「国民」と「国家主権」であると合意がなされた。この枠組みが今問われているのではないか。新しいキーワードは「人種」、「宗教」、「通貨」、「経済」、「言語」などが、新しい国家のフレームワークになるのではないかと思っている。

#70 イギリスの国民投票の結果を見て

2016-06-24

伊勢サミットで経済危機が来たらどうするんだと 問題意識を提示した安倍首相に対してイギリスの首相は「大丈夫、大丈夫」、ドイツやフランスも「考えすぎ」といったという報道があったが、今日イギリスがEUを脱退するという結果がでた。

イギリス人は中東からの難民を受け入れるのはそんなに嫌いなのだ。すくなくともイギリス国民の半分は「アラブさんお断り」といっているのだ。EU離脱のコストは高くつくがそれでいいという判断をイギリスが下したことになる。島国の日本はおそらく半分ぐらいがイギリスに対して同情的であろう。これが日本の保守層の考え方なのではないか。残りの半分は移民に対してオープンになるべきだという考えの人ではないか。ただしEU離脱によって日本の株式は大幅に下がってしまったので、景気が悪くなって結果的にはアンチイギリスというのが日本のスタンスではないか。今日の夜のテレビ報道を見ながら、失言が大好きな財務大臣や逆金利の日銀総裁など、こういう人たちがなんで株の買支え出動を即明言できないのか、疑問に持ってしまった。まさかアメリカに財政出動の許可をもらいにいっているのか、と疑いたくなった。明日の朝9時までに財政出動をやります、とはっきり明言するべきではないか。露骨にやるのは悪いことなのか。中国の政府だったら一気にやるだろう。せっかくサミットで財政出動するというコンセンサスをとろうとしたのに、残念だ。ネガティブな報道をしたマスコミは恥を知れ。

EUにおいて、これからドイツとフランスが核になってEUを支配するのであろう。 次にEUはどうなるのか。それを決めるきっかけとなるのはEUのどこかで起こる大規模なテロ行為ではないだろうか。核攻撃というよりも大規模な放射能汚染のようなテロで、今度はドイツやフランスの国民が、EUの中で難民になったとき、EUは本当の試練を迎えるのではないか。

#67 舛添問題を考える

2016-06-14

私のつぶやき1ヶ月間更新していなかった。その間珍しくテレビばっかり見ていた。舛添東京都知事の問題について考えていることがあるので書いてみる。この舛添問題は2つに別れるのではないか。舛添氏が参議院議員としての政治資金の使い方。もう一つは東京都知事になってからの東京都知事としてのお金の使い方。この二つについては全く違った性格を持つ政治資金であり、議論の仕方も変わってきて当然ではあるが、テレビではごちゃ混ぜにされて報道されている。今回のテレビ報道は舛添氏を引き摺り下ろすためのマスコミによる正義の報道に名を借りた政治リンチショーである。僕のような興味津々な視聴者がテレビを見るからテレビ局は特別番組を組んでどんどん報道するのである。

参議院議員としての舛添氏のお金の使い方については温泉に泊まったとか資料代がどうとか、いろいろいわれているが、舛添氏についてこれをいうなら国会議員全員の政治資金報告書について過去に遡って少なくても5年やるべきではないか。それも週刊文春などの中年探偵団が走り回って調べるよりも、会計検査院のような組織を動員して検査すればよいのではないか。しかし現実は「政治資金」という名前のもとに政治家の活動は曖昧にしておくことが許されている。参議院議員当時の舛添氏の気持ちは政治家だから適当にやっておけばいいと思っていたのではないか。私は政治活動についてはブラックボックスでいいと思っている。政治とはそういうものであるのだから。

東京都知事としての舛添氏の経費の使い方については、問題があると思う。高い値段のホテルや飛行機代など公用車による遠距離の通勤。これらについてはリアルタイムで知事の経費を開示することが今後の正常な支出のための必須条件となるのではないか。地方自治体の知事は政治家であって、公務員でもある。その立場の人間の方が国会議員よりも厳しい立場で身辺を監督されなければならないのではないか。知事の立場でやってこられたことについては経費の乱用より罪が重いことがある。それは視察と称して個人的趣味のために美術館を訪問していることだ。大切な日中の時間を公務にあてないで、個人の趣味に使うような人を知事においておいてはいけない。東京都美術特別顧問ぐらいに任命して、公用車の代わりにタクシー券でも持たせて遊んでいてもらえばいいのだ。

不信任案がもう直ぐ提出される。辞任になるのか、解散になるのか先は見えないが、時間の問題で知事の座は追われることになるだろう。そして次の知事が選ばれてまたその知事の経費が調べられ叩かれる。まともな気持ちのまともな価値観を持った人ならば誰も知事にはならない。現代はこんな時代になってしまったのだ。

#62 政治経済についての私の予想

2016-05-10

その1、中国。ウォーレンバフェット氏が、中国の景気は明るい、中国の未来は明るい、といったそうだ。なるほどと思った。私見は中国の国としての体力があと何回大暴落に耐えられるということが論点ではないだろうか。クラッシュが起こるたびに国の中枢が買い支えをする。しかしあと何回この買い支えがうまくいくか未知数だ。中国の市場関係者の体力がもうなくなってしまったときに本当のクラッシュがやってくることであろう。ウォーレンバフェット氏はそれがかなりの先だというメッセージを出しているのだろうと考えている。

その2、日本。参議院選挙が終わったら株式は落ちると思う。その株式の落ちるきっかけはマスコミだろう。日本のマスコミかアメリカのマスコミか、ヨーロッパのマスコミか、その中のどこかがアベノミクスの悪口を書いて大騒ぎをするだろう。アメリカやヨーロッパが騒げば日本のマスコミも喜んで同調するだろう。誰が悪口を書き始めるかが見ものだ。そいつは日本の株を下げたい張本人に頼まれてそういう記事を書くのだろうと見ている。しっかりと時系列で分析してみたいと思う。その前からしっかり外資の空売りがされていたりして。そのあと6ヶ月ぐらいしたら不動産の値段が下がるだろう。不動産の値段が下がると外資の土地持ちが投げ売りするのではないだろうか。

その3、ロシア。プーチンロシア大統領と安倍総理大臣のトップ会談が開かれるそうだ。石油の価格が安くなって困っているプーチンだからロシアが儲かる提案さえすれば北方領土は返ってくるのではないか。しかし日本がロシアに資金提供をしたらアメリカの逆鱗に触れることなる。アメリカを怒らせないでそんなことができるのか。

その4、イスラムのテロリスト。なれてしまったのか人質が殺されてもテレビは全然反応しない。日本人が捕まってももう報道されなくなるのも時間の問題であろう。ISのスポンサーはもうすぐわかるだろう。それはアISから石油を買っている国だ。つまり石油を買ってISに資金を提供している国というのがどこかということはそのうちバレるであろう。その国はISに人質を取られないでISがその国の名前すら出さない国、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本でもない。スポンサーの国の国民の首を切ったらスポンサーは怒るであろう。

#61 「小学校でプロクラミング教育の必修化」に思う

2016-05-10

産業競争力会議で総理大臣が小学校でプログラミングを必修化すると表明した。たいへんよいことなので二、三、お願いしたいことがある。まず、小学校の教員をプログラミングの教員にあてないでほしい。間違っても夏休みなどに講習をしてプログラミングの免状なんか発行しないでほしい。高校では「情報」が必修科目となっているが、ワープロや表計算を教える授業になっているところが多い。受験校は受験科目に振り返られたりしている。情報の専門家が高校で教えるチャンスはなく、理科や数学の教員が免許をもらってやっている。現実をみると仕方がないという気持ちにもなるが、小学校教員の免状をもたないと、小学校でパソコンの授業を教えることができない。小学生が目の色を変えてコンピューターに取り組むような授業が可能な人を教員として臨時免許を与え、実現して欲しい。

コンピューターの教育は大きく分けて2つある。コンピューターを使う教育と、コンピューターをつくる教育である。私のいうコンピューターとインターネットのことをいう。スマホを活用して情報をインターネットからゲットすることは誰でもやっている。そんなんに教育はいらないというひともいる。でもスマホでワープロや表計算やプレゼンテーションを作り込めるかというと決してそうではない。スマホは明らかに情報消費者のための道具であって、情報生産者のための道具ではないようだ。情報生産者はもっと効率のよい大きな画面のついたパソコンを使っている。一人一人が情報のスキルを持つならばパソコンのスキルは現在の時点では必須ではないか。

次にコンピューターを作る教育。秋葉原でパソコン部品を買ってきて組み立てるということがパソコンを作るということにはならない。半導体を買ってプリント基板をレイアウトすることがパソコンを作ることであろうか、それも違う。マイクロチップを作らないとパソコンは作れないのではあろうか。そんなことをいったら世界でパソコンを作れる人は100人以下になってしまうことになる。私はパソコンを作るということは今のパソコンを改良して新しい機能を付加し、新しいコンピューターを作ることができることではないかと思っている。その教育を日本で展開している大学はあるのだろうか。Apple IIも、PC98も、IBM PCも、Macも、最近ではRasberry Piもすべて企業で生まれた。教育の現場から教育の結果として新しいアーキテクチャのパソコンが生まれたことがあるのだろうか。大学で作ったといっているOSがあるが、一皮むけば専属の企業がつくっていたりスポンサーの企業がサポートしていたりする。一瞬花火は打ち上げることができても誰もが買えるコンピューターを作るということはとても難しい。私は小学校からコンピューターを教えるということにぜひ、プログラミングだけでなく、使い方だけでなく、どんなレベルでもいいからコンピューターを作るということを教えて欲しいと思う。小学校のときにコンピューターを作るという喜びを覚えてしまった子どもが大きくなって次の世代を引っ張っていくコンピューターを作るのだと思う。そういう子どもたちをたくさん育てたい。

#55 シャープと東芝について思うこと

2016-03-24

シャープと東芝について考えてみた。シャープが台湾の会社とやるみたいではあるがもめているそうだ。後出しじゃんけんでいうのではないが、もめるだろうと思っていた。なぜなら自分の少ない経験からであるが、台湾香港中国系の企業とのビジネスとは、契約書にサインしてからはじまるねぎりあいと文句のつけ合いが必ずあるということが常識である。あの台湾の会社がいい条件を出したのは日本の競争相手を落とすためのことであって、あんなお人好しな値段をはらう経営者が台湾香港中国にいるはずはないと思っていたのだ。おそらく買収価格は半分くらいになるのではないだろうか。

シャープの経営陣の態度に呆れた。2度とシャープの商品を買うことはないだろう。鴻海にシャープが突きつけた要求は、役員を残せとか、現在の事業をそのまま続けさせろとか、うんぬん。救済出資を求める会社の役員会がやることではない。私もアスキーを助けれくれと銀行にお願いにいったが、そのときに「私はどうなってもいいからアスキーを助けてほしい」といった。日本の再生機構の再建案は役員総辞職だったと思う。自分たちが生き残ろうなんて今やっている仕事を続けるなんて、そんな再建のシナリオはありえないのではないか。これは日本の再建の常道である。日本の再生機構の考え方はシャープをバラバラに解体して、他の会社数社と再編をすることであったと思う。私はこの案でよかったのではなかったかと思う。シャープという会社の部分が日本資本の会社として日本に残り、たとえ新しい名前がついたとしても日本の産業の一部としてその役割を担うべきではなかったかと思う。台湾の会社に買われるということはシャープは台湾の会社になるということで、日本は貴重な資本を失うことになる。役員が生き残るために会社を外国の会社に売ったということは残念である。

鴻海のオーナーの気持ちを推測してみた。年商数兆円の下請け仕事をしているそうだ。iPhoneも作っているらしい。数兆円も下請けをしている男のストレスたるや相当に大きなものだろうと推察される。いつなんどきお客に切られるかもしれないという立場の男は何を考えるだろうか。お客が絶対に逃げない状況を求めるのではないだろうか。つまりアップルに対して独占的に自社の液晶モジュールを供給することができたらアップルは永遠に顧客であり続けるであろう。鴻海のオーナーの発想はシャープがほしいのではなく、シャープの液晶モジュールがほしいのである。それを100%所有して意のままに操り、アメリカの巨大企業から下請け仕事をとってくるのが目的ではないだろうか。鴻海が買ってもシャープはバラバラにされるだろう。

東芝がたいへんである。東芝メディカルは7000億円で売り飛ばされてしまうそうである。それでも自己比率は10%らしい。私は東芝がこの先まともな会社に復帰することができるかに関して疑問を感じる。東芝はいい成績を出せずにどんどんジリ貧の会社になるのではないだろうか。その理由は、今回の決算のドタバタが世間の知るところになり、企業の決算を監督してきた公認会計事務所を怒らせてしまったからである。自分がアスキーの経営をしていたときに粉飾決算をしていたということではなく、経済学部の大学院のビジネススクールで上場企業の有価証券報告書を数期比較して企業の経営分析をするという教えてきた立場として、企業とその企業の会計監査を行う監査法人との関係が非常に大切であるからである。東芝の内部告発によって今回の事件ははじまったといわれているが、歴代の東芝の幹部がやったことは、東芝と監査法人の関係がよいときには、粉飾ではなかったと思う。しかし、企業と監査法人との関係が今のように緊張関係にあるときにはあきらからに粉飾になる。つまり、会計監査の基準は企業と監査法人との緊張関係にうごいているということだ。今回の内部告発によって東芝は融通のきかない決算を強いられる企業に転落してしまった。手も足も縛られて猿ぐつわをされて、走れというようなもので、他の企業が弾力的にやっている決算ができない会社に東芝はなってしまった。厳しすぎる会計基準をこれから少なくとも5年は強制される会社となった東芝は利益を出して再浮上することは困難なことではないか。

東芝のこんなにやばい情報がただの一介の社員の正義感でなされた内部告発なのであろうか。私は違うと思う。私の経験によるとこれは社内の大きな派閥争いの結果ではないかと思っている。東芝には知り合いがいないので実態はわからないが責任を追求されているここ4代くらいのトップでない派閥が結託しておこなったことではないかと邪推する。しかしその派閥の人たちは決算基準が超厳格化されて会社が疲弊するということを考えてきたのか。おそらくそんなことまで考えていなかったのではないかと思う。

鴻海の社長は創業者でありオーナーである。シャープの社長はサラリーマン。東芝の社長もサラリーマン。やはり問題にすべきは経営者の力量の如何であろう。山ほど現金を持っている会社がお金を使わない。借金でM&Aをしてその借金の利払いのために社債を発行するとんでもない会社もある。21世紀の日本では経営者の劣化が一部おこっている。日本の戦後の成功は傾いた企業を業界再編という旗を振って蘇生再生をしてきた歴史ではなかったか。会社の名前がたとえなくなっても、歴史はその会社の名前を忘れないのではないか。

#54 すべての人が発信することをもう誰も止めることができない

2016-03-15

大阪のこの校長はおそらく処分されるのであろう。インターネットの時代に少しでも人がカチンとくるようなことを発言すればみんなで寄ってたかってそいつをいじめようとする社会になりつつある。今までは新聞や週刊誌やテレビがメディアの持つ見識と良識を元にしたアジェンダ機能、世の中に何が問題かを指摘する機能を果たしてきたが、それが変わりつつあると感じる。一人一人の受信者の感性がインターネットをとおして増幅され、一人一人の国民すべてがマスコミのように発言できる世の中になった。昔ニューメディアという言葉があって、この言葉はマスメディアに対して個人が発信できるメディアということで使われるようになった記憶がある。

一人一人が発信できる社会、匿名で発信すれば2ちゃんねるのような世界になる。実名で発信すればフェイスブックのような世界になる。アメリカの大統領選でトランプが発言しているのは下品な不動産屋の発言ではなく、アメリカ人が今まで発言できなかった本音をトランプ候補が発言しているからあんなに彼が受けているのかもしれない。今までの価値観にしばられた旧世代の我々にとってはとても発言できない内容であるが、そういうこだわりのないトランプ候補を支持しているのは、本音の発言をすることがあたり前で育ってきた30歳以下の若い世代ではないだろうか。インターネットの存在が国の形を変えつつある。その影響を受けるのはまずはアメリカであろうが、その影響は時間の問題で日本にもくる。またどんなにコントロールしようと中国やロシアでも拡がりこれによって国の形が変わることがあるかもしれない。ソ連が破綻したのは軍備にお金を使いすぎて経済が破綻したからであったが、中国は来るべき経済の破綻で大恐慌を起こすと考えられるが、私は大恐慌のときにインターネットが果たす自由な発言こそが中国を変えるエネルギーになるのではないかと思う。

#53 「男性」と「女性」でなく「個性」と「母性」

2016-03-15

大阪の市立学校の校長が「女性は子どもを二人産むように」という訓示を終業式でしたようだ。それを誰がか教育委員会にいいつけて、市はこの校長を処分するということになりそうだ。いっぽうこの校長は「自分のいっていることは間違っていない」と主張している。自分ならどういう話を終業式でいうのか考えてみた。昔から世界は男尊女卑の歴史がある。これについて「それがいいとか悪い」とかは我々にいう権利はない。男尊女卑が悪いといっているのは国連をはじめとする人たちだ。21世紀の現代は「男性」と「女性」というよりも、「個性」の時代ではないか。それぞれの人が持っている「個性」が尊重されるべきではないか。「個性」であって「男性」「女性」ではないのだ。しかし「男性」と「女性」は違う。「女性」が「男性」と違うのは、妊娠して身体のなかで子どもをそだて出産するということだ。そしてその子どもを愛して育てるということだ。私はそれを「母性」といいたい。子どもを産むという決心は家族の決心でもあろうが、究極的には女性個人の選択に委ねられるべきであって、「必ず二人産め」とお説教されることではないのではないか。日本が日本の人口を増やしたいのであれば、母となる人がそうしようと思うような制度を完備するべきであろう。それが何なのかは国と時代と土地柄によって異なるであろう。ヨーロッパの先進国の中でも人口が再び上昇し始めたところがある。やってやれないことではないか。

#51 アメリカ大統領選その後

2016-03-08

2月19日付の「西和彦の独り言」で、ブッシュの可能性を指摘したが、その後早々と撤退してしまった。たいへん残念である。アメリカ人でない私がアメリカの大統領の選挙について何をいってもいい加減な第三者の発言にしかならないのであれこれいうのはやめようと思う。

前ニューヨーク市長のブルーム・バーグ氏が立候補をしないと決心したという発表があった。古くはコンピューター情報処理会社であったロス・ペロー氏も大統領選途中で撤退している。企業経営者が政治家になるのはどうもよくないみたいだ。企業を経営するスキルと政治のスキルは別物みたいである。日本でいうと藤山愛一郎、河本敏夫、居酒屋チェーンの渡辺美樹など企業の経営者で政治家になった人はその出身母体の企業がみなおかしくなっている。経営者というスキルと政治家というスキルは別のものみたいだ。ベンチャービジネスで成功してその上に国会議員になるという成功物語の屋上屋はないのである。

#50 2016年の年末の予想

2016-02-19

2016年の年末に向けた予測をしてみた。

まず第1に、アメリカでシェールガス関連の投資の不具合から重大な経済問題に発展しそうな気がする。シェールガス関連のジャンクボンドの残高の値を調べている。どうもリーマンショックのときの10倍ぐらいのサイズがあるようだ。

第2に、石油の値段が下がり続けている。一時100ドルだったものが30ドルである。私は30ドルが10ドルになると思う。誰が困るのか。困る国は産油国としてのロシア、中東の産油国である。ロシアが外貨準備を取り崩し金融的に破綻をするのは数年先であろう。中東のならず者の力はいっそう弱くなるだろう。この資金難によってロシアは持ちこたえても、中東に大きなリスクが高まるであろう。宗教対立というよりお金がなくなった国がどうなるかを我々は今までの歴史でたくさん見てきた。

第3に、中国の通貨元が世界通貨になっていく過程で中国は多くの財務データを開示せざるをえない状況になっている。それによって全世界が中国のいままで発表してきた統計が間違った数字であることを認識し確認した瞬間に、中国のクラッシュが始まる。日本のバブル崩壊、リーマンショックの一桁上の経済インパクトを持つ大恐慌の可能性がある。もちろん日本もその影響を大きく受けるだろう。

第4に、朝鮮半島。ICBMの実験は成功かもしれないが、次の段階は再突入技術の確立と再突入時に搭載する核兵器としての小型原子爆弾である。この実験を北朝鮮はどこでするのであろうか。もはや南の方角に打ち上げて極軌道衛星を上げるようなことはしないだろう。次の実験の標的は東倉里(トンチャンリ)から米国のワシントンの距離に相当するどこかの島を狙って核爆弾を搭載したICBM実機を発射するのではないか。私はそれが南極大陸のどこかであると思っている。ロケットが完成し、原子爆弾の小型化が完成したら、それを積んで試し射ちをしたくなるのは自然なことではないか。

第5に、日本。日経平均が下がり続けている。日銀はやることはみんなやった。日銀に預金をするな、お金出て行けといったにもかかわらず、銀行はお金を貸さない。あがったりさがったりしているが、結局下がるのだ。株価が下がったときに政権を担う党が勝ったことはない。このまま日経平均がもどらなかったら、自民党はボロ負けする。自民党がボロ負けするのに衆参同時選挙をしたらどうなるか。自民党は過半数を失う。今考えている憲法改正などは夢のまた夢になる。民主党の政権になるか、維新の政権になるかわからないが、政権を担ったことのない政党が日本を舵取りして永遠の没落国家にまっしぐらになるだろう。日経平均が安くなっているのは外国の売りだと、総理大臣が明言した。しかしそれによって国民が怒り選挙で自民党が負ければとんでもないことになる。日本にとって悪夢の再来になるだろう。

この5つのことが起こるなかで、アメリカの次期大統領が決まる。この非常事態を乗り越えることができるのは、不動産屋のトランプでもなく、平和主義の元国務長官でもなく、ブッシュ弟で、それに喜んで協力すると意見表明したブッシュパパと、ブッシュ兄。ブッシュ三人組のような政治のプロが、意外にも大統領になるのではないかと想像する。

#46 シリアとIS問題の最終的な構図を考える

2015-12-24

国際政治の素人がこんなことを書くのは、筋違いと専門家の人に言われそうなきがするが、素人がどう思っているのかを述べるのもインターネットの時代であるからゆるされると思って、手前勝手な予想を書いてみたい。

アメリカとNATOは空爆をし、ロシアが空爆をし、サウジアラビアを中核とするアラブの諸国も参戦し、イスラエルもこっそり爆撃している。この図式はシリア国内という戦地とそのシリア国内のグループや現政府軍や反政府軍の間のことではなく、シリアIS問題は、アメリカとNATOと、ロシアと、アメリカ側についているサウジアラビアやイスラエルなど世界の大国の意向がすべてを決めるようになってきているようだ。ここに世界の大国で名前が出ていない中国がどう関係してくるのかがたいへん興味深い。昨日から報道されているがまた日本人が人質で捕まったみたいだ。お金払わなかったら殺されるのであろう。今のところ中国人は人質に捕まったことはない。中国のISに対する公式な声明はいまのところでていないが、なにか動いているようだ。しかしアメリカとロシアがシリアの国土や利権を争っているときに領土拡大が大好きな中国が何もしないでいるかどうかは疑問である。将来万一このシリアIS問題に中国が参入するとしたら、それも積極的に参入しなくてもISの石油を買ったりしてISに対して資金協力するのであれば、シリアIS問題はアメリカとロシアと中国の領土問題になってしまうのではないか。そうなれば距離的に一番遠いアメリカは、一番立場は弱く、一番距離的に近いサウジアラビア連合軍は有利ではあるが、ロシアが勝つのではないか。

よってアメリカとイギリスとフランスとロシアと中国の代理戦争がシリアで展開されるのではないかと思う。国連の安全保障理事会がシリアの利益や未来を決める会議になるのであろうか。

#44 来年10月までに世界恐慌がくるかも

2015-12-01

11月30日に国際通貨基金理事会は中国の通貨 人民元を5番目の世界通貨と指定することを認めた。2016年10月1日から効力が発生する、というニュースがでた。IMFのプレスリリースには中国をよいしょする言葉ばっかりがならんでいる。でもよく考えてみるとこれはとんでもないことになるのではないかと私はふと思った。IMFによる5番目の通貨になるために中国は様々な本当の数字を求められるであろう。世界の5番目の通貨になるためにはそれもやむをえないであろう。しかし、このことによって中国が今まで嘘の通貨統計を出してきたとしたら、中国の通貨は世界からそっぽむかれるだろう。

日本は円を国際通貨として押し出すことをあまりしてこなかった。アメリカの同盟国として長く固定相場にし国力がみとめられるようになってから、360円から100円までの辛くて悲しい歴史がある。通貨というのは国にとって会社の株と同じようなものだと思う。経営に自信のある経営者は、自分の会社の株式をどんどん発行するものだ。国の経営に自信のある政府は、通貨をどんどん発行するのではないか。サダム・フセインは石油の決済に使うお金をドルからユーロに切り替えたことが失脚の一番大きな原因であったような気がする。それはアメリカに対する挑戦状だったのだ。中国の元をIMFを操っているアメリカがそう易々と世界通貨にするなんておかしくはないか。元を世界通貨にしてやるといって誘い出し、関連事実を全部公表させ、挙げ句の果てに中国の国際信用を失墜させるというシナリオが書かれているのではないかと心配する。中国の統計が操作 されているものだということはみんな薄々知っている。でもその実態の数字がわかった瞬間に1929年のようなことにならなければよいのだが。2016年10月1日は土曜日で、市場は閉まっている。よかったよかった。月曜日は10月3日で大安だそうだ。

#43 テロの私的な分析 その2

2015-11-21

チベットのダライ・ラマ法王が
===
人々は平和を欲しているが、テロリストは近視眼的であり、それ故に彼らは自爆テロを行う。我々は、祈るだけではこの問題は解決できない。私は仏教徒であり、信仰を信じている。問題を作り出したのは人間なのにも関わらず、問題の解決を神に委ねることは論理的なこととは言えない。神ならばこういうかもしれない「問題を作り出したのは人間なのだから、自分たちで解決しなさい」と。

我々は、人間性と協調心を育て上げるためにシステマチックなアプローチを取る必要がある。今からこれらを始めるならば今世紀は前の世紀とは異なるものとなるだろう。それを始めるかどうかは、全ての人々、一人一人の考え方にかかっている。それを成すためには、神や政府に頼るのではなく家族や社会のなかから平和のために働くことを行うべきである。
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と、言われた。私はこの発言に対して感動した。同時に自分はどうしたらよいのか、社会はどうしなければならないのかを考えてみた。この分野の専門家でない私の考えることなんてなんの値打ちもないかもしれないが、表明したい。

ネットの記事を読んでみると、テロを実行している人は純粋な人らしい。イスラムに対するひどい扱い、自分たちの受けた不当な仕打ちが怒りとなってそういう行動に出るのだそうだ。ウイグルの焼身自殺にも共通したものがある。ウイグルの場合は無言の抵抗ということで自殺をする。イスラムの場合は他者を巻き添えにしている。ほんとうにひどいことを考えている人は自分自らがテロをやることはないのではないか。純粋な人を先導してその人たちにテロをさせるように仕向けているのではないか。オウムのときもそうだった。911もそうだった。悪者はうしろに隠れている。

テロリストたちの生まれや生い立ちにおいて彼らは自分の生きている社会に喜んで受け入れられてきたのだろうか。イスラムだからとか、アラブ系だからとかといって差別されてこなかっただろうか。シリアの難民を受け入れるといったドイツに着いたときにそこには自分のいる場所がなく、シリアに送り返された人が受ける心の傷を考えるととても悲しい気持ちになる。私は日本が難民を受け入れることが可能かどうかを決める立場でもないし権限もないが、それぞれの人が平和な生活ができる場所をつくる努力をそれぞれの国がしなくてはならないのではないか。ただ単にアラブ系を受け入れて迫害を続けるとその人は居場所がなくなる。そういう風に追い込まれた人がテロに走る原因になるのではないかと想像した。実際に現場を知らない自分が勝手にそういうことをいうのは僭越ではあるが。パリにも助けを必要とする老人や老女がいる。この人たちの介護をするような仕事を移民の人たちに開くことをフランスの政府はしているのか。自分が日々手伝って感謝されて仕事をしている人たちとの人間関係がもし存在するならば、そういう人たちに対してテロ行為を行うであろうか。移民の人たちにも平和に生活をすることができる社会的な居場所を提供するという政策も求められているのではないか。表面的な物資の援助や平和維持活動だけではこの問題は解決しない。移民に対する人間的な対応、これは決して人道的という言葉であらわすことでなく、なぜなら今まで国連などでそういうことが語られたことを私は不勉強なので知らない。安全保障理事会は非難決議ばかりしている。今求められているのはテロの原因の正確な究明ではないだろうか。

それをしっかり行うことがダライ・ラマの言われた「人ができること」であるのではないかと思った。

#42 テロの私的な分析 その1

2015-11-21

11月21日からパリで仕事の予定があったのだが、キャンセルになった。会議のホストが危なっかしくて3月に延期すると通知があったからだ。パリのあとイタリアのクレモナに行ってヴァイオリン学校に入学の手続きにいくところだったのに。

パリのテロでお亡くなりになった方々に心から哀悼の意を表したいと思う。

最近海外のニュースをよく見るのでテロのことを少し考えてみたい。ISのテロは西洋諸国のアクションに対応して起こっているようだ。ロシアのシリアに対する爆撃に対してロシア航空機の爆破。フランスのシリアに対する爆撃に対してパリのテロ。こうなれば次は米国の爆撃に対して米国関係の何かがやられるのは時間の問題なのではないか。

最近の中国に関して思うことが2つある。中国とアメリカ、中国とイギリスのことである。

中国がAIIBを作ることでアメリカと対立した。日本はアメリカに同調し参加しなかった。日本の世論でAIIBに賛成した人たちの論調をしっかり記録しておこう。イギリスがAIIBに賛成して参加した。それについても考えたことがある。

次に中国が南沙諸島を埋め立てて軍事基地を作っている。アメリカは怒って駆逐艦を派遣し公海であるというデモを行った。この問題はこれからもっともっと大きくなるだろう。戦争の目的は2つあると言われている。一つは領土の奪い合い。もう一つは国民の殺し合い。南沙諸島のケースは領土の奪い合いに該当する。私が心から願うのは南沙諸島の問題に自衛隊を派遣することが起こらないことである。日米関係があるから仕方なく自衛隊を派遣するというシナリオを私は警戒する。

一方、中国と英国については、その両国の歴史を深く考えないと英国の考えていることがつかめないと思う。英国の軍艦の空砲数発によって清王朝は英国の属国になった。そのあと日本が中国を奪ってしまった。植民地政策、植民地経営で実績のあった英国の手口は鮮やかなものがある。一方、日本はお人好しのおめでたい国家ではないか。

AIIBに土壇場で参加を決め、習近平国家主席を国賓として英国に招待をするという報道をみたときに私は第二次世界大戦前に時の首相 チャンバレンがヒットラーをよいしょしたことを思い出す。詳しくはインターネットで調べればいくらでもでてくるので書かないが、イギリスの今の内閣は中国を意図的に褒めて調子に乗らせて実利を採る。ということを考えているのではないか、という大英帝国のシタタカさを感じた。やはりスペイン ポルトガルのあと世界中を支配した国の歴史的な大局観のなせる技かと。

アメリカ イギリス以外の国はどうか。ドイツのここしばらくの動きを見ていると、ドイツと中国とは仲がよかった感じがする。アメリカは当然不愉快だったろう。私はフォルクスワーゲンの偽装事件はドイツに対するアメリカの警告と考えてもよいのではないかと思う。陰謀論と一笑にされると思うが何か大きな事件には大きな作用反作用の因果律が存在していると考えている。こういうのが国際政治の世界なのであろう。

日本はどうか。ほとんど何もしないで、何をされても無反応で、難民も受け入れず、国際活動に関する協力金のバラマキばっかりして、本当にダメな国だという人もあるが、こういう日本の態度は賢い選択かもしれない。

宮沢賢治の詩に「雨ニモマケズ」というのがある。

雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず

野原の松の林の陰の小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば 行って看病してやり
西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば 行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろといい

日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういうものにわたしはなりたい

少し長くなってしまったが、宮沢賢治のいうようなことを日本は世界にしようとしているなら、それはそれでよいのではないかと思った。

#39 外国人観光客の増加をほんとうによろこんでいるのか

2015-10-21

先週仕事で京都に行った。 有名なホテルに泊まって、有名な日本料理屋でご飯を食べた。大学発ベンチャーの草分けともいえる著名な先生に会ってビジネスの話をした。泊まったホテルは有名なホテルで1泊3万3千円(税別)であった。ホテルから料理屋に向かうタクシーで「最近観光客は増えていますか」と聞いたら、「中国の人は増えたけどタクシーは全然儲からない」と言っていた。観光客はバスで集団移動するからだ。タクシーの運転手さんが教えてくれた。「中国人観光客の高級ホテルの宿泊原価は1泊5000円でっせ、お客さん。」僕は愕然とした。旅行代理店がかなりの部屋を抑えていてその原価はなんと5000円だという。この旅行代理店によるホテルのブロック買いが京都のホテルが取れなくなっている理由だそうだ。つまり、中国からくるお客さんがパッケージツアーのお客さんだ。だからご飯をするところも、買い物をするところも京都の中の外国人専用レストラン、外国人専用ショッピングセンターなのだそうだ。結果として今まで京都を楽しみにしていた、いい旅館に泊まっていい日本料理店に行って、いいお土産物を買う人は少なくなったということだ。観光庁ができ海外からの旅行客が増えても、その実態はパックツアーのお客さんが増えているだけ、の現状でよいのであろうか。

東京オリンピックが開かれる2020年。オリンピックを観るというパッケージツアーが押し寄せ、東京都内のホテルがパンクし大変になるのであろう。

文明が栄えたあとに国力が低下した国が最後に選ぶのが観光産業である。つまり、観光立国というのは、かつての大国の最後のビジネスである。ギリシャのエーゲ海のホテル群、ローマやベネチア、ミラノのホテル群。地中海沿岸の諸国。過去の文化遺産はもちろん大切で貴重な資源であるが、自分の住んでいる街がその街だということだけで、世界中からやってきてお金を使ってくれるのであれば、それは観光産業というビジネスとしては申し分ないが、かつてのイギリスやドイツや日本がたどってきた、産業立国とはまったく異なることである。日本も日本の未来に向けて、産業立国を続けるのか、観光立国に切り替えるのか、本気で決心するときが近づいてきている。

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