nishi.org 西和彦のコラム

通信・放送・インターネット

#116 マスメディアの正体を考える

2017-10-02

総理大臣が出演したニュースショーで、番組の演出が司会者に「モリカケ」に誘導と指示をした映像がインターネットに出回っている。私は放送で観ていて、久しぶりにソファーから転げ落ちた。蓮舫がスパコンにケチをつけたとき以来である。いったいどうなっているのか。

10年以上も前に大新聞の本社のレストランで大新聞の編集担当の役付役員から聞いた話。「うちは東京大学法学部政治学科の上位の学生を必ず採る。やがて同級生は高級官僚になり日本の政策を考える。そんな奴に大学時代にノートを貸してやり、そんな奴より勉強ができれば、そんな奴が作った政策に『大したことない』と堂々と文句がつけれるわけである。 」 私はそれを聞いてすごいなぁと感動したものだ。しかし、最近ではその大新聞に東大生はもはや就職しないみたいだ。しかし、編集局のなかには依然として東大法学部がうじゃうじゃ。そういう人たちにとっては、私立大学出身の総理大臣は侮蔑の対象なのであろう。どこの大学を出ていようとも、たとえ小学校卒業でも一国の総理大臣である。尊敬をし尊重しなければならないのではないか。総選挙のときに池上彰や富川悠太や安藤優子や木村太郎などは、総理に失礼なことを言うことが正義だ、ジャーナリストに許された特権だと思っているようだ。同じことを北朝鮮で言ったらその場で射殺になるのに、この国は平和な国で総理大臣は淡々と答えるだけであった。橋下徹のように失礼なものには「失礼だ」と言えばいいのに。

失礼な発言をし、売られた喧嘩を買って言い返すと「祭り」がはじまる。インターネットなどではアクセスがうなぎのぼりに上昇する。テレビでも放送事故と呼ばれて録画が出回る。ジャーナリストの大義を掲げて実はアクセスをあげるための方策を実行しているにすぎない。インターネットの時代になって誰もがなんでも発信できる時代になって、ブログやツィッターが全盛である。強烈な伝播力を持ったインターネットに対して、テレビはどんどん下品になっていく。そうするしか視聴率を維持できないのだ。ニュース番組はニュースショーになり、エンターテイメントになった。読み上げるだけのアナウンサーはもはや人気がない。久米宏や古舘伊知郎が先駆けである。ビートたけしはすべての意見を茶化して言うことでそのキツさを誤魔化している。あらゆることにコメントをするコメンテーターという仕事もできてしまった。新聞は縮刷版で記録が残るので滅多なことは言えないが、テレビは基本的に消え去るのみである。録画している人はそれでも少ない。だから何を言ってもいいのだ。BPO(放送倫理・番組向上機構)は活動しているが、何の強制力もない。言論の自由に守られているのだ。名誉毀損は公益の優先には負ける。

ニュースショーなどに招待されて発言するのがコメンテーターである。政治専門、経済専門、ゴシップ専門、報道専門、法律専門、野球専門、なんでも専門など、様々な分野の人が活躍中である。常連になって威張っている人が増えてきた。あまり酷いことや広告主に逆らうような発言をするとすぐクビになる。クビになったら、そのあとはインターネットで吠えるしかない。でも、よっぽど下品なことを発言しないと注目されないので、どんどん下品になっていく。このコメンテーターという職業がこれからもっともっと伸び、ただのコメントだけでなく世論を牽引していくような人物が登場するのではないか。

この度の衆議院議員選挙は新聞とテレビの祭り度合いが注目されるであろう。開票時の特別番組を誰がキャスターで仕切るのかが楽しみである。池上と木村と安藤と富川が上目線で仕切るのか。選挙運動中にテレビがどのように選挙誘導を行うのかも注目したい。放送法に定める政治的中立はどうなったのであろうか。偏向はインターネット上に永遠に残る。

#112 インターネットにより生まれる新しい職業の予感

2017-09-05

最近の新聞記者は報道よりも自分の意見を書くことのほうが多いような気がする。総理官邸の記者会見で官房長官の発言にいちいち持論を述べて対抗する記者がいる。昔は記者会見で新聞記者は一生懸命発言内容をメモをとっていたような気がする。佐藤栄作総理が退任のときに新聞記者の諸君は出て行ってくれ、と発言したときのことをはっきり覚えている。子ども心に佐藤さんは頭にくることがたくさんあったのだろうと忖度した。総理はテレビは残ってくれたらいいと言われた。今現代であればテレビも出て行けと必ず言われるのであろう。

新聞やテレビが変わってきた。その原因はインターネットにある。誰でも自由に匿名で発言できる時代になってしまった。Jアラートが鳴れば「バカヤロー」とツイートがなされ、皆がそのとおりだと思う。スマホからチョチョイノチョイで自説をもっともらしく発表することができるのだ。私も今やっている。そういうのをみて一番忌々しく思っているのが報道関係者なのではないか。正確に報道しているだけではつまらない。自分の意見を言わなければやってられない、というわけだ。思い込みの素人と思い上がった玄人が大騒ぎをしている。ホリエモンがロケットを大好きなようにぼくもロケットや飛行機マニアでいささかの知識があるつもりだ。その立場から最近の北朝鮮のミサイル報道をみていてひどいと思っている。なんで素人の解説者がスケッチなども描いちゃってICBMの説明ができるのか。自衛隊を退職した将官がしたり顔で専門的な話をしていいのか。軍事機密ではありませんか。法学部をでた元外交官が戦争の仕方を論じていいのか。外交機密ではありませんか。在任中の秘密は退職後も話してはいけないのではありませんか。

田舎で野菜を作っているおばはんがなんでミサイルの話ができるのか。農学部出身のやつが北朝鮮の軍事作戦を論じることができるのか。さっぱりわからないが次のような結論に達した。

今まで評論家といわれたり、ジャーナリストといわれたり、元官僚や元企業役員が、テレビにコメンテーターという名で発言している。自称評論家や自称学者が、インターネットで発言している。テレビのニュースではなくて、ニュース番組の形式はほぼ確立しつつある。左側に司会の人。その脇に美人のアナウンサー。真ん中には電子黒板。右手に二人から五人くらいのコメンテーター。これで永遠に番組が続く。こういう番組を各局が同じ下請けプロダクションに頼むから台本はほとんど共通である。

このコメンテーターやネットブロガーなどのひとたちをひとまとめにした職業としての名前が必要なのではないか。コメンテーターよりも内容があり、評論家よりも積極的で、国民に対して時代のアジェンダ機能を持つ人たちのことである。アジェンダとは「今、なぜこのことを議論しなければならないのか」という問題抽出のことである。新聞やテレビ、週刊誌や月刊誌やインターネットで有名無名を問わず積極的に発言しているひとのリストを作っているところだ。いい名前が思いつけばそれとともに公開してもよいと思っている。

#108 IoTで日本は負けてはいけない

2017-05-23

パソコンで日本は世界的に負けてしまった。NEC、富士通、ソニー、パナソニック、日立、東芝、三菱電機、沖電気。これらは皆パソコンを作っていた日本の大企業であるが今でも世界で競争できるパソコンを作っている会社はいくつあるのだろうか。パソコンで日本が負けただけではない。パソコンそのものもスマホに負けそうな時代である。

スマホはケータイ電話からはじまった。モトローラがケータイ電話のさきがけをし、ノキアがガラケーで大きなシェアをとったこともあった。今はもうモトローラもノキアもない。アップルとOSを提供しているグーグルが大きなシェアをとっている。仕事上全種類のスマホを持っていて、ガラケーもまだ使っているが、5月10日にソフトバンクの孫さんが「日本のスマホメーカーは全滅してきている」と言った。実際そうなのであろう。日本はスマホの生産でも負けたのだ。パソコンよりも悪い事態である。

スマホの次は何か。私はIoTだと思っている。パソコンからスマホになり、小さくなり、さらに小さくなってIoTになる。あらゆる電子機器がインターネットに繋がる時代になるときに、そういう電子機器を生産する国になることができるのであろうか。それが日本に与えられた大きな命題である。

最近水中ドローンが発売された。おもちゃであるといって馬鹿にするメーカーの経営者は多いと思う。大学の教員をしている人も「あんなものは今の技術で作れる」という人もいる。しかし、そういうことを言うから水中ドローンは中国がはじめて開発をし、発売をし、あっという間に1台20万円で100万台くらい売るのであろう。そうするとあっという間に1000億円を超える中国の企業が新しく誕生するだろう。日本で水中ドローンを作って発売しそうな会社の名前をあげろといわれて私は戸惑う。

IoTもインターネットに繋がるものから、IoEだという人もいる。「Things」ではなくて、「Everything」なのである。そういう時代に日本が存在感を持つ立場になるために必要なことはなにか。それは今業界がやっているような標準化活動ではなく、日本という、またパソコンやインターネットでそこそこの仕事をしたというおごりを取り去った積極的な応用開発の実行と製品化ではないだろうか。ドローンを作れなかった国、水中ドローンを馬鹿にした日本という国に不安を感じる。

#107 IoTのキラーアプリは何か

2017-05-10

東京ビックサイトでIoTの展示会があっていってきた。景品をやるからアンケートに答えよというキャッチセールスがやたらに多かった。展示会のありようも変わったものだ。およそ考えることのできる応用例はほとんど実現していて、商品になっている。大学の取り組まなければならないテーマを全面的にやり直さなくてはならない、と思った。同時に動いているのはわかるけどこれでは大量市場を構築することはできないのではないかと思われる商品が多かった。この世の中で1セットしか存在しないカスタム商品が多かった。

IoTに今求められているのは、IoTならではの大型商品なのではないか。パソコンでいうならば表計算やDTP、インターネットのブラウザ。スマホというパソコンを超える大型商品や検索エンジンや、クラウドというリモートデータベースやアプリケーションのようなものである。万物がインターネットに繋がることによって我々の生活がどう便利になって万人が買う商品は何なのか、それを作った企業がIoTのチャンピオンになるのであろう。パソコンが素晴らしかったのは標準的な仕様のマシンをソフトウェアでプログラムすることによって色々な用途に応用することができたことである。初期のBASIC言語はパソコンの応用開発のツールとして活用されたと思う。そのうちに表計算やDTPなどのキラーアプリが出てきた。IoTは今BASICがパソコンに出現する以前の段階ではないだろうか。

シリコンバレーだけではなく、ぜひ日本からそういう企業が出て欲しいものだ。

#105 インターネット時代の機械翻訳に再びチャレンジしてみたい

2017-05-02

機械翻訳は20年ぐらい前からやっている。しかし、やってもやっても成果がでない。永遠の研究テーマかもしれないといわれてきた。文章を解析して意味を抽出するときに曖昧さがかならず残るからである。しかし、いったんプログラムが文章の意味を正確に把握すればそれを目的とする言語に翻訳することはほぼできるようになった。

高校時代にエスペラントという言葉を学んだことがある。世界中の人々が共通語を使うようになればどんなに便利だろうと思ったのである。一生懸命エスペラント語の文法や単語を覚えたがあとになってすでに米語が世界の共通語になっていたと気がついて嬉しいやら悲しいやら微妙な気持ちになった。国際連合大学の高等研究所で国連の公用語をサポートする機械翻訳システムを作ろうと10年ぐらい努力した。30か国以上の研究者と知り合いいろいろな活動を行ったが結果はあまり華々しくなかった。はやり国連で一番使われている言葉は英語であった。関係者は皆英語を話すのである。建前をサポートするためのシステムではなく、本音で使えるシステムを開発しないといけないということを学んだ。

この度の研究は第一段階として電子書籍を各国の言葉に翻訳するシステムの開発。第二段階をウェブの内容をマルチ言語対応するということをやってみたいと思っている。スマホがこんなに世界的に普及し、地球の人口の約半分の30億台のスマホによって、インターネットにアクセスはこんなにも簡単になった。しかし地球の上には100弱の異なった言葉がある。自分の国の言葉しか話せない人も多い。多くの人がインターネットにアクセスできるように今、問題は言葉の違いである。ある言葉が読めないとその言葉でかかれた知識は理解不能である。インターネットで使うことができる機械翻訳は不正確なものが多い。ここのところを解決して世界中で知識の共有が可能になるようなシステムを作ってみたい。

nishi.org

〒110-0005 東京都台東区上野7-11-6 上野中央ビル 2F
phone:03-5827-4115 / fax:03-5827-4116 / e-mail:info@nishi.org