nishi.org 西和彦のコラム

通信・放送・インターネット

#96 IoTとセキュリティ

2017-03-07

インターネットの次の焦点はIoTである。モノが繋がるインターネットのことである。私はIoTを最近の研究のテーマとして選んでいろいろな開発を展開しているが、その中で一番重要と考えることについて述べたいと思う。

インターネットを経由して機械や生産ラインやクルマや建築物に対してコントロールすることができるようになっているのがIoTであるが、このインターネット同士の結合のセキュリティが今問われている。つまり、インターネット上の暗号化は、アメリカの政府が定めた暗号が使われている。アメリカの政府が定めた暗号というのは政府が持っているマスターキーを使えば一瞬にして解けるというものである。この暗号化スキームを使って例えば、原子炉の制御システムを構築すると、アメリカ政府に敵対する国や組織であれば政府が介入してそういうプロセスを止めることができる。日本の産業用システムの中にはすでにたくさんのアメリカが仕掛けたリモコン爆弾が組み込まれているとスノーデンは言っていた。飛行中の航空機は墜落するだろう。稼働中の発電所は暴走するだろう。だからインターネット経由で産業システム、軍事システムを構築するときには相当な対策が必要になる。日本国内のシステムであれば、それこそ絶対に解けないNTTの暗号を使った最強のシステムが必要となろう。それでも足りないかもしれない。また、中国やロシアとアメリカとの戦いは単にインターネットを使ったホームページのハッキングなどという代物ではなく、インターネットを使った社会システムの撹乱というのが、その主たる脅威となるのではないか。

インターネットと繋がるIoTデバイスのコントローラの9割以上はこのセキュリティに費やされなければならないのではないか。単なる8ビットのコンピュータでは足りないことは明白である。ARMの64ビットのCPUが内蔵されたコントローラが適当である。孫さんはこのことを考えてARMを買収したのかもしれない。

#89 音楽と映像の配信の未来

2016-10-27

Spotifyの日本のサービスがいよいよはじまる。4年前にSpotifyが始まったときから日本でいつ始まるからワクワクドキドキしながら待っていた。個人的にはNaxosのオンラインサービスの方が好きだった。しかしSpotifyの方が圧倒的な曲の多さと低価格でおそらく日本のマーケットは一瞬にして市場を取られてしまうのである。これで困るのはCDを出している音楽出版社と言われているが、そうとも言えないと思っている。音声圧縮がかかった音楽は1万Hz以上の高音と100Hz以下の低音が含まれていない。高音と低音も含めて音楽を聞きたいという人は依然としてCDを買い続ける。問題はこのCDを買い続ける人が何割になるかということ。それは全体の1割だろう。よって世界の音楽はほとんどすべてがインターネットオンラインになる。ならない部分の音楽がパッケージメディアで供給されることになるだろう。

映像については最近、総務省が2019年をめどにテレビがインターネットで視聴できるようにするという予定であると発表があった。NHKがインターネット課金するためにも必要なことである。NHKも民法TVもインターネットを通した情報提供を避けてきた。これは戦略的に正しかったのか、こうすることでテレビの視聴者の数がこの10年間でどんどん減ってきているのではないか。そういう生活習慣を日本国民に植えつけてしまったのはそういうテレビ局の嫌インターネット政策のせいだったのではないだろうか。今の日本人にはインターネットでテレビをみるということはよほどのことがない限り、ありえない。その数少ないインターネットでテレビを見る方法とは、自宅のHDDレコーダーにLocationFree TVを繋ぐことだ。個人の責任で、自宅で自分の機器で番組を録画しその機器からテレビを再生してインターネットのLocationFree TVで中継をする。そういうことがでしか、ネットでテレビをみることができない。このサービスを一般の人に提供しようとした人は、全員が有罪になっている。そんな怖いことは企業は誰もしなくなってしまった。今回の総務省の判断はこのインターネット経由のテレビ視聴をオープンにすることであり画期的なことである。これがどうなるか期待したい。

しかし、今のインターネットの回線容量を考えると、2KのHDTVの映像では苦しいのではないか。4KのUHDTVなどは絶対に不可能である。とすれば、おそらくインターネットの映像は1K×500 のHDTVの4分の1になるのではないかと思う。まともな色のでない1Kの映像でユーザは我慢するべきなのか。ここに2Kのブルーレイや4Kのブルーレイが引き続き売れるという市場がでてくることになる。つまり、ロークオリティはインターネットのダウンロードやストリーミング、ハイクオリティはインターネットではなく、パッケージメディアでの販売というのがどうもここ数年間の市場の動きになるのではないかと考えている。

#79 最近のテレビ、最近のインターネット

2016-08-17

かなりの長い間、病院に入院していた。心臓の不具合と目の不具合を直してもらうためだった。両方とも手術は無事終わってこの度退院した。考えてみれば、クラシックカーのような60年ものの身体で、なおかつスペア部品がないのだから、メンテナンスは必ず必要だ。これからあちらこちらが故障し続けるのだろうかと、考えるとがっかりした。

入院中テレビをたっぷり観る時間があって最近のテレビに感じたことがある。ニュースは、ニュースとその解説をするニュースショーに別れる。ニュースショーは、ニュースが終わってから約1日くらいしてインターネットで調べて台本を書いてニュースショーがガンガンに騒ぎ始める。ニュースショーの内容はインターネットで調べることができる以上のことはないにもない。そこに信じられない、考えられない、許せない、を繰り返し発言をするコメンテーターが出現して、発言をする。これの繰り返しである。天皇陛下のお言葉や、SMAPの解散やオリンピックの金メダルなど大きなことが起こるたびに、テレビはどのように扱うのかと大体予想がつく。どうしてもみなければならない類の内容ではないので、仕事に戻るとテレビは観なくなった。しかし、1日中テレビの前にいるとどうしても電源をつけてテレビを観てしまう。ほとんどの視聴者はテレビを観なければならないと思って、テレビを観てしまうのだろう。全録のハードディスクレコーダーで全番組を録画してつまみ食いをするような見方をしているが驚いたことに会社に置いてある全録のハードディスクレコーダーは一度も観たことがない。つまり、会社の中で起こっていることの方がテレビよりも面白いということか。そういえば、ワンセグ機能のついた電話をずっと使っているが、テレビを観たのは数えるほどしかなかった。テレビはどんどん退廃に向かっているのではないか。

インターネットのウェブサイトは、自分が見ているものは自分が観ているものはほとんど見尽くしてしまったところがあって、最近はインターネットのウェブサイトでファイルを探してダウンロードしてプリントアウトして読んでいる。私にとってインターネットは電子本屋だ。インターネットと製本ができるレーザープリンが〜の組み合わせが私にとって本屋の役割を果たしてくれている。

インターネットSNSについては、facebookをやっている。しかしfacebookで情報の発信はほとんどやっていない。Twitterもやっているが、Twitterは自分のことを悪く言われたりするときに、訂正を求めて発信をすることきのみ使っている。聞けば、Twitterは大赤字だそうだ。そのうちなるなるだろう。なくなっても私は困らない。LINEは、やっていない。電話番号を抜かれるのはイヤだからだ。simejiもやっていない。入力したテキストを抜かれるのがイヤだからだ。SNSが出てきて人は人生で出会う人の数が1000倍くらい増えるという。それもいいのかもしれないが、私が値打ちを感じるのは生き別れになってしまった友人と再開することができるfacebookには感謝しているが、その他のSNSについては私は苦手である。しかし、Twitterの行き先やクラウドによるプライバシーの侵害などこの分野の未来は危険に満ちているのではないか。

#77 4Kテレビ先物買いへのおかしなご注意

2016-07-05

総務省から「現在売られている4Kテレビでは、2018年からの4K・8K実用放送が見られない」というお達しが出た。なんか変。チューナーがついてないのにテレビという名前をつけてはならないといって、現在売られているものは、4Kディスプレイといえばいいだけの話なのに、こんな変なご注意を出してしまうのはおかしいのではないか。消費者をバカにしている。テレビの定義が今問われている。テレビとはチューナーの入ったディスプレイなのか、民放が作っている放送のことのなのか、そこら辺のことをはっきりさせる必要がある。Youtubeといえば、映像サービスのことをさす。しかしテレビとは、テレビ放送とテレビ受信機の2つの意味がある。またこれからテレビ放送の番組がインターネットで提供されるインターネットテレビというのものある。インターネットテレビの規格を満たすディスプレイはインターネットによるテレビ放送のサイマルキャストが始まれば4Kテレビ放送も8Kテレビ放送もみることができる。だから落とし所としては「現在売られている4Kテレビは2Kのチューナーだけが積んであって、4Kのチューナーは積んでいないので、4Kテレビといわなくてもいいのではないか。なにか新しい『***テレビ』という名前が必要ではないか。」

#64 インターネットがマイノリティに与えた力

2016-05-17

マスコミの機能の中で大きなものに「アジェンダ機能」というものがある。これは世の中で起こっている森羅万象に対して必要であり、注目に値すると思われるものをピックアップして大衆に伝えるというものである。だから日経新聞と朝日新聞と産経新聞と赤旗では大切と思うトピックスが違っていて、当然伝える内容も報道する内容も違っている。このアジェンダ機能にそれぞれのメディアの品格や見識がでてきた。それがメディアのパワーとなってきた。

インターネットでツイッターのように一人のひとがつぶやくことが共感を得ればリツイートで拡散していく。何を言ってもゆるされる時代であるからリツイートもなんでもありの様子をしているが一部の少人数が発信する事柄が面白ければ拡散されていくという時代になってしまった。前東京都知事のお金の問題、オリンピックのエンブレムの問題、小保方のSTAP細胞の件、舛添知事の公私混同の問題、これらすべて一部のイカれる情報発信がおもしろおかしく拡散されてマスコミを賑わしている。他人のスキャンダルや他人の悪口や他人のプライバシーを聞いたり読んだりするのは楽しい。悪口は蜜の味という。しかし、社会の報道というカテゴリが本来的に持たなければならないアジェンダ機能を放棄し、エンターテインメントとしてのスキャンダルに注力するようになってしまったということはおかしいと思う。

私は右翼でも左翼でもない。中国や韓国からの帰化人でもない。地方出身で大学進学のときに東京に上京してきた典型的な東京都民である。その立場からいうと東京という街はその多様性において日本が世界に誇れる街である。しかしあまりにいろいろな人がいてその間の壁はインターネットによってさらに厚く高くなっていくのではないか。我々がしなければいけないことはマスコミの「アジェンダ機能」を疑うことではないか。マスコミが選んだコメンテーターの選択の意図を見抜くことではないか。ニュースそのものもニュースと思わないで、エンターテインメントと思って評価するべきではないか。あと言葉の壁はあるが世界中のニュースに対して定点観測をするべきではないか。日本のメディアと相手国のメディアと両方読んで、はじめてニュースの実態がわかるのではないか。マスコミやインターネットに隠されている世の中を操ろうとしている集団や個人の意図を発見することこそ、インターネット時代の個人に求められていることであると信じる。だからインターネットによって戦いの本質は個人vs個人になっているのではないか。

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