nishi.org 西和彦のコラム

経営・教育

#102 IoTメディアラボの課題

2017-04-25

4月1日から東京大学でIoTメディアラボという研究組織を運営している。活動の具体的なテーマがみえてきたのでご紹介したい。

まず、

IoTのプロジェクトベースドラーニングコース(大学院向け)
1. IoTシステムの設計と試作。
2. IoT向けのクラウドシステムの設計とプログラミング
3. 3Dプリンタを使ったプロダクトデザイン
4. プリント基板の設計と部品の実装

を半年かけて行う。10月に成果発表の予定。

つぎに企業スポンサーによる研究プロジェクトをIoT・メディア関係で展開していく。

#97 東京大学大学院 IoTメディアラボの開設

2017-03-31

この4月から東京大学でIoTとデジタルメディアの研究と教育をすることになった。

IoTについてはメディカル分野、教育分野、セキュリティ分野、環境モニタリングを中心に応用開発を行なっていきたいと考えている。大学の学部の学生と大学院の学生を対象としたプロジェクト学習(PBL)のコースを開講する予定である。

メディア研究の分野では16Kのビデオカメラシステム、16Kのディスプレイシステム、ハイレゾオーディオシステムなど、デジタルメディアを中心に開発を産業スポンサーをお願いして共同研究をすすめていきたい。

東京大学工学部機械工学科は歴史ある学科で大学生になりたてのとき、渡辺茂先生にコンピュータについて色々とご指導を受け、博士論文作成時には大橋秀雄先生にご指導を受け、20年以上続けて産業総論の講義を中尾政之先生にお世話になっている。また、西のエンジニアとしてのスタートは早稲田大学理工学部の機械工学科で ある。その意味で機械工学科、機械工学専攻でIoTを研究できるということになにか不思議な縁を感じている。

任期は65歳までの5年間あって、これまでの16年間は音楽系の大学でメディアとビジネスを教えていたので方向性をエンジニアリングに戻して今までの未完成のプロジェクトを世の中の役に立つ研究として完成させていきたい。

#94 東芝の半導体事業は孫さんが買うべき

2017-02-23

ソフトバンクがボーダフォンジャパンを買う前に、孫さんとあったことがある。そのときに僕が孫さんに「ボーダフォンジャパンを買ったほうがいいんじゃないか」というと、孫さんは「いやいやそんなことは...」と言ってみせたが、ほっぺたと目が引きつっていたことを昨日のことのように懐かしく思い出す。最近孫さんはトランプやプーチンやアラブの王子様と忙しそうで、僕は会う用事もないが、東芝の社長がメモリ事業の過半数以上を投資家に売ってもいいと発言したことをうけて、20%2000億ではなくて、80%を8000億といいたいところだが、たとえ価格が2倍になっても、1兆7000億で買うのがいいのだと思っている。東芝の半導体事業は日本の宝だといわれているが、それをソフトバンクが直接買うのではなく、英国のCPU開発会社ARMに借金させて買えばいいのだ。ARMはイギリスの会社であるがその親会社は日本のソフトバンクであるから、日本の間接所有になるのではないか。またARMが3兆3000億したのであるから、メモリ会社に1兆7000億使っても合計して、孫さん的にいえば、たったの5兆(豆腐5つ分)である。東芝にとって原子力の損7000億を払ったとしても1兆円残る。今の東芝に現金が1兆円増えれば東芝はあっという間に、優良会社に逆戻りである。今まで東芝のことをいじめたマスコミにざまぁみろということになる。

この35年間インテルという会社が莫大な利益をあげた。パソコンのCPUのビジネスを切り開き育ててきたのはインテルである。

パソコンよりも巨大な市場がスマホにある。なおかつスマホは2年でポンコツになる。消耗品であるスマホのCPUをにぎっている限り、そのCPUを設計し生産する会社は莫大な利益を間違いなく手にすることになる。また、スマホの中にはCPUだけではなくて、グラフィックスもメモリも必要である。グラフィックスなんてCPUとよく似ている。メモリはフラッシュメモリもRAMも同じうようなものだ。つまりARMと東芝のメモリ事業をドッキングした企業はそれだけでスマホの半導体を全部支配してしまうのだ。それに加えてアップルはサムソンに液晶を大量に注文したのだというが、孫さんの友だちの台湾の鴻海と、ARM+半導体会社が組めばなんでもできる。そのプラットフォームの上で動くのはアップルのOSとアンドロイドはもちろん、マイクロソフトも喉から手が出るほど孫さんとビジネスをしたくてたまらなくなるのではないか。ノキアにあんな大金を使うのだったらこっちのほうがよかったのではないか。

今回のARMと東芝の半導体事業に5兆円ぶち込んで世界的にお金を集めれば5兆円なんてあっという間に取り戻せる。今までのソフトバンクの借金を返してもお釣りがくるのではないか。日本にもこんな大勝負をすることができる投資家が現れたということ。この話は私のただの空想であるが、もしこの話が実現すれば世界的な快挙である。期待したい。

#93 国家元首や王族と会うようになった孫さんのその後を勝手に想像する

2016-12-20

孫さんの国際的な活躍がとまらない。サウジアラビアの副皇太子とともに、10兆円の投資ファンドをはじめるそうだ。トランプ次期大統領に会いに行ってiPhoneをホンファイといっしょにアメリカで製造することを申し入れにいったり、アメリカに5兆円投資をするといったり、ロシアのプーチン大統領に会ってロシアの電力を海底ケーブルで輸入したいと提案したり、世界をまたにかけて飛び回っていることが報道されている。アメリカ・ロシアに続いて次に会う人は中国の国家主席か、英国の女王陛下と、いろいろ考えてしまう。

以下は私の素朴な疑問。

1. プライベートジェットは何に乗っているのか。ビルゲイツの場合は、ボンバルディエ社 のGlobal Expressを出張のたびに2発飛ばしている。孫さんは自家用ジェットなのか。チャーターなのか。たいへん興味がある。機種は何なのであろうか。私が想像するには、ボーイングのBBCという737を改造したビジネスプライベートジェットではないかという気がする。

2. サウジアラビアと共同で10兆円のファンドをやるそうだが、そのうちの半分をアメリカにトランプと約束したみたいに投資するのだろうか。このファンドの本部はロンドンに置くらしいが、サウジアラビアとアメリカの関係は今のところよくない。そんなことをしたらサウジアラビアは投資をやめてしまうのではないか、と心配である。

3. 10兆円のお金を投資して、リターンはいつごろかえってくるのであろうか。おそらく最低でも5年、最長では10年以上かかるのであろう。そんなスローなペースでしかお金がかえってこなかったとしたら、投資家からの圧力はたいへんになるであろう、と心配である。

4. ロシアと電力の販売の共同事業をやって、アメリカといい関係でいることができるのか。ロシアはOKでも、アメリカはそんなことは許さないであろう。アメリカに潰されるのではないかと、心配である。

5. 日本のメガバンク3行は未だにソフトバンクに対して貸し出しを増やしていない。ARM買収でブリッジローンにみずほは応じたようだが、クレジットラインは変わっていない。孫さんの目下の資金源は個人向けの劣後債、つまり一番順位の低い社債である。このソフトバンクグループの日本の銀行の評価をどうするのか、心配である。

イギリスのベンチャーARMを3兆3千億円で買収したことの評価はエリザベス女王からSirの称号をもらうことができるかどうかがそのシグナルである、といっていいだろう。人間勲章や爵位にこだわるようになったらそろそろ終わりというが、孫さんの晩年はどうなるのか、お手並み拝見を楽しみにしたい。

#88 大学と専門学校のこれから

2016-10-18

大学が受難の時代だといわれている。学生の人数がどんどん減ってきて下位の大学ほど定員割れを起こすほどになってしまった。上位の大学も困っている感じがする。例えば文系。2年間教養教育を受けた後、専門教育はたった1年で就職試験を受ける。たった1年の専門教育で学べることはたかが知れている。3年生の終わりか4年生のはじめに就職活動をして内定をもらうともはや勉強をしなくなる。そして就職をする。こういう仕組みだから大学卒業生の国際競争力はどんどん弱くなっていく。理系はそんなことに対して違う対策を立てている。それはほとんどの学生が大学院に進学することである。3年生と4年生と修士1年2年、4年間たっぷり勉強してもらおうということだ。だから理科系の大学院の卒業生は評判がいい。

もうすぐ専門学校が全部大学になる。先日改造された専門職大学院に続いて専門職大学である。看板を書き換えても専門学校が変わるのであろうか。かわるという人と変わらないという人が分かれている。しかし、専門学校を含めて大きな大学の序列の中に組み込まれていくのであろう。私の考えるその序列と博士までいく9年教育と修士まで行く6年教育と、学士で終わる4年教育に分かれるのではないかと考えている。理系のほとんどが6年教育になり、大学院の修士過程は主に研究する人を対象に6年かける修士過程は専門性を高める教育となり、4年かける教育は教養教育と呼ばれるようになるのであろう。卒業後の進路によって9年6年4年の選択をするようになるのであろう。

現在の大学のビジネスがほとんどが授業料と呼ばれる学納金経営が主である。早稲田も慶應もそんなところだ。ところが米国の大学は、高い学納金に加えてかなりの部分が企業から支払われる研究協力金が収入になっている。9年教育の博士課程や6年教育の修士課程においてはこれからは在籍の学生の人数を増やし、収入は学納金から研究協力金に切り替えていく必要があるのではないか。

そもそも大学のお客は誰で、大学の商品はなんなのであろうか。そんなことを聞くと誰もが大学のお客は高校3年生の保護者であり、大学の商品は教授が行う授業である、と考える。それはそうだが社会という立場で考えると大学の商品は高度な教育を施された卒業生なのではないかということができる。また大学の顧客は学生の保護者ではなく、卒業生の雇用する企業であると言える。大学は人材育成の組織なのである。そうすると顧客の意向を一番正確に大学に伝えるためにはどうすればよいか。それは大学が企業からお金をもらうことによって成立する。企業と大学の関係において、大学教育の骨組みを規定するということが大切だということになる。しかし、この話は企業がスポンサーになっている企業立の大学が人材を排出しているのかというとそうでもないようだ。この仕組みは企業が東大や京大や阪大に研究スポンサーとして資金を出すようになってはじめて成り立つのではないか。巨大大手私立大学が学納金経営でこのまま進んでいくと大きなトラブルは時間の問題でやってくるのではないか。

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