西和彦のエッセイ
#468 アップルもマイクロソフトも超LSIを開発する時代を考える
2020-12-30昔マイクロソフトで仕事していたとき、半導体の開発をしたらいいのにと思ったことがあったが、それはダメと言われて、泣いたことがあった。ところが今ではソフトメーカーのマイクロソフトも、パソコンメーカーのアップルも半導体を開発する様になった。これをどう考えればいいのか。
私が正しかったと考えてはいけないと思う。超LSIの開発がお金さえあれば誰でもできるようになったということではないか。問われるべきことはその半導体のトランジスタカウントで何パーセントがその会社で作られたかということではないか。買ってきた半導体のIPをパッチワークしてキルトにしたものとプリント基盤にLSIを載せたものの違いは、パッケージングだけである。台湾のTSMCに金さえ払えばなんでも作ってくれる。残念ながらアップルのM1もマイクロソフトのARM ARMSOCもこのレベルだ。
世の中にはWindowsとMacがあり、インテルかAMD、ARMがCPUである。スマホにはAndroidとiPhoneがあり、どちらもARMである。これは消費電力でインテルとAMDが手を抜いたせいでARMが勝った。この度のアップルのARMへの全面切り替えはスマホがパソコンを決めたということではないか。そのほかの分野では大量に売れているコンピュータにRasberryPiがある。これもARMだ。世の中ARMだらけだ。
これからのインテルやAMD、ARM NVIDIAの動きが注目される。100%オリジナルの回路を作ってきたこれらの半導体開発会社のチャレンジ精神の結晶がどのような形で出てくるのかがとても楽しみである。我々の想像を超えるようなものが必ず出てくるに違いないと確信している。そうしたらすごい時代になるだろう。そういう意味でNVIDIAのARM買収を高く評価したいとともにインテルとAMDの満塁ホームランが期待される。鍵は64bitのx86のメニコアでのスケーラビリティになるのではないかと思っている。64コアや128コア、256コアでパフォーマンスが直線的に増加するCPUを開発したところが勝つのではないか。
#467 4Kの次は8Kか?
2020-12-30昔、4Kは流行るかどうかの議論をしたことがある。当時は私は4Kは流行るといい、知り合いは4Kは流行らないといった。結果は4Kのハードは安くなり流行っているが、4Kのソフトはもう一つである。1K以下のDVDが未だに売れている。2Kですらない。ハードは4Kになったのに。これはどういうことかというと、DVDの映像の元になっているのは4Kのビデオであり、これをダウンコンバートしてDVDに焼いている。そしてその映像をテレビの半導体のチップが2Kや4Kに拡大していのだ。複雑な気分だ。4Kのカメラが安くなって、ドローンについて、スマホについて、Youtubeでも4Kが当たり前になってしまった。世の中はゆっくりDVDからBDへ、BDからBDXLに動いていくのであろう。
では8Kはどうなるのであろうか。私は8Kはプロ用の映像フォーマットになって、スタジオの内部が8K素材であふれ、それが送り出しのときに4Kや2Kになるのではないかと思っている。値段によって8Kではなく6Kもありかもしれない。素人も玄人もみんな4Kという時代はないのではないか。それよりも1秒あたりのコマ数が変わってくるのではないだろうか。24コマのフィルムからの脱却がこれからのテーマの様な気がする。
#468 IoTの4つの分野 新バージョン
2020-12-30東大でIoTを研究して4年経ってしまった。結果を公表していないので、お前らは何をやっているのだとよく言われる。とりあえず分かったことを書いてみる。
20年くらい前にユビキタスコンピューティングという言葉が流行ったが、これはマイクロCPUがあらゆるものに組み込まれ、それらがお互いに通信をする時代がくるという予言であった。これがIoTの先走った予言であったという人がある。私のいた米国のマサチューセッツ工科大学のメディアラボでもTTTプロジェクト(Things That Think: 考える物)というのがあったが、これもあまり盛り上がらなかった。こういうものと今のIoTとの本質的な違いはなんだろうか。私はそれはウェブやクラウドの存在だと思う。ウェブやクラウドを使ってインターネットに繋がった物を管理制御するのがIoTだと思う。そしてこのトポロジーがIoT機器、ワイヤレス通信、クラウドサーバというIoTの3要素に展開され、IoTが爆発的に普及することになっていると予想する。
#467 地球温暖化に対してできること
2020-12-30地球温暖化の原因はCO2であると言われている。IPCCなどのお偉い方々が言われているわけであるが、都会の暑い夏の原因はCO2ではないと思う。都会の温暖化の原因はアスファルト舗装によって土から水が蒸発する量が少なくなって、気化熱が奪われないので昔に比べて都会は暑くなるのではないだろうか。それとエアコン。エアコンの室外機から夏に発生する熱もかなりのものになるだろう。この2つをこの200年くらいシミュレーションすることができればある程度のことがわかるのではないか。
同時に直近の天候不良の原因はなんだろうか。とも考えてみた。太陽の黒点の数からわかる活動量の変化とそれによる大気循環モデルに注目している。
全世界的な規模でIoTセンサーをばらまき、温度と湿度と気圧と太陽の明るさなどを調べるネットワークを真っさらに作れば真実は見えてくるのではないか。そういうことがIoTが世界に貢献できることではないだろうか。最終的な判断は専門家にお願いするしかないだろう。
#466 はやぶさ2の快挙を見ながら考えたこと
2020-12-30遠いところから隕石の親である小惑星や彗星に着陸して、そのサンプルを取って地球に戻ってくるなんて、素晴らしすぎる。ゴルフでいったらホールインワンを何回続けてするような奇跡なのだろうか。そのうち詳しく書かれた本が出ると期待している。
私が興味を持ったのはその結果と比べてみたいもののことだ。それは地球に降り注いできた隕石の燃え尽きなかった物との比較である。ヤフオクで隕石は売られているが値段が高くて、大きくて重い。小さな隕石はどこに行ったらあるのだろうかと地球儀を回しながら考えた。私の仮説は南極大陸である。南極大陸の万年雪の中に地球に落ちてきた隕石が含まれているのではないかと思った。地球温暖化が言われている現在、これを早く探しに行くべきではないか。そうしてはやぶさの結果と比べてみたい。
#465 私の考えるコロナの課題 その3
2020-12-30知り合いの人がコロナになった。その人から連絡があって、真剣にどうしたらいいか考えた。コロナ感染によって起こるサイトカインストームを抑える方法に活性水素が有効であるという記事があり、活性水素サプリメントを大量に摂取すればいいのではないかと本人に伝えた。その人はウィルスはプラスなのに、症状はなしだったそうだ。数ヶ月してウィルスもネガティブになったという。私はこの方法がすべての当てはまるとは思わないが、これからこういうレポートがたくさん出てくるのではないかと注目している。
#464 私の考えるコロナの課題 その2
2020-12-30コロナワクチンが続々と承認されて出てきている。自分もいつか打たなければならないのだろうが、いまのところ怖くて打てない。副作用が心配なのだ。そのうちコロナウィルスが変化し、すぐにワクチンが効かなくなってしまうことも考えられる。どうしたらいいのか。素人の考えであるが、コロナがいかに変異しようとそれに対応した新しいワクチンが迅速に作成できるような枠組みのワクチンの開発が望まれるし、そういう開発をしているところを素人なりに探してみようと思う。
高速なコロナ感染検出試薬と変異対応なワクチン。この2つがコロナの救世主になるのではないか。
#463 私の考えるコロナの課題 その1
2020-12-30コロナウィルスの蔓延が止まらない。危なっかしいところはマスクを着けて移動している。マスクでは足りないかもしれないので、宇宙服のようなゴーグルを探している。バイオ戦争の映画などに出てくる様なヤツである。ドイツ製がいいかも。それに酸素ボンベなどもつけるとさらにいいかも。
最速で対応しなければいけないテーマは、コロナにかかっているかどうかの検査の結果が直ちにわかるということではないだろうか。30分以内にウィルスの感染があるかないかが分かれば、イベントや飲食に使える。とりあえず入り口で調べて、飲食やイベントに入ってもらう。もし感染していたら、然るべき対応をとればいいわけであり、その場所から感染が拡まるということを防止することができる。この検査がいくらまで安くなるのかが鍵だろう。
#462 ビル・ゲイツの近著
2020-12-15ビルから近著の校正刷が送られてきた。読んで感想を送れとのこと。テーマは「気候破綻をどう防ぐか」というもので、副題は「考えられる対処法と必要となる新技術」というものである。大変読みやすく、ベストセラーの予感がする。オリンピックに日本に行くから会おう、と書いてあった。どうしよう。
#461 アメリカが最も嫌がる中国の計画はデジタル通貨ではないか
2020-12-15アメリカは紙を買ってきて、特殊インキで特殊印刷するだけで100ドル札を作ることができる。コストは10ドルもないだろう。アメリカの最高の輸出商品はこのドル札であると思う。サダム・フセインは石油の決済にユーロを使ってもいいといったので、アメリカに消された。中国が中国の通貨「元」を増刷し、多国間決済に使うということがアメリカが絶対に許さないことではないだろうか。とくに「元」がデジタルになり、暗号通貨の形でインターネット上に出回り、一帯一路の国々との間の交易がなされるようになると大変なことになる。アメリカはそれを抑えながら、デジタルドルを展開していくのだろう。日本の財務省は中国とアメリカの間の戦いを黙って見ているだけなのだろう。ヨーロッパのユーロはアメリカがドイツをいじめてボロボロにし、英国のポンドはEUを離脱してどうにか助かるというのがありうるべきシナリオのような気がする。
#460 トランプ大統領が正式に負けた
2020-12-15選挙人の投票が行われトランプ大統領が正式に負けた。これからどうなるのであろうか。次の選挙までの4年間にまず起こることは大統領の弾劾の試みではないだろうか。歴史的にみてもあまり例のないことであるが、中国とバイデン次期大統領とその息子の取引が問題になり、これは成立するような気がする。日本には直接的に関係はないけれど。アメリカ国民は4年間の選挙活動におそらく嫌気はさしてトランプは再選されないであろう。それでも負けるわけにはいかないというのが、アメリカ魂であろうか。
#459 64bitの世界はx86とARM64bitの戦いになる、しかし勝つのはマイクロソフトか
2020-12-15M1の次のM2、その次のM3の話がネットで出回っている。たいへんなことだ。M2が出てくるまでにインテルとAMDから同じような機能を持ったチップが出てくる様な気がする。両方ともマイクロソフトがサポートして、強力なWindowsベースのパソコンが生まれるのであろう。
一方、マイクロソフトのARM版Windowsのx86エミュレータはなかなかいいみたいだ。だからWindowsはx86とARMで動くことになる。アップルは自分のシリコンで動くMacOSとiOSを両方リリースして、アップルの世界をiPhoneの力を使って広げていくのだろう。
どちらがシェアを伸ばすのかが興味深い。インテルとAMDのMX対抗のチップのお手並み拝見である。私はWindowsの様な気がする。両者とも生き死にがかかっているから。
#458 次世代MSXのコンセプト
2020-12-15次世代MSXに向けてコンセプトのまとめを進めている。一番の特徴はメディアマシンであるということ。二番目はIoTのコントローラーとしての機能を持つということ。三番目はマルチCPU時代に対応するパーソナルスーパーコンピュータに拡張することができること。以上の3点であります。
#457 設立準備中の新大学の研究分野について
2020-12-09神奈川県小田原市に設立準備中の日本で一番小さい工学部の内容について議論を進めている。
一番小さいものは原子核レベルの研究、それからゲノムの研究、それからIoTの研究、、、一番大きいのは地球と月の研究である。月の表面にIoTセンサーを1万個くらい設置して、月の活動をリアルタイムでモニターすることである。
#456 マイク、スピーカーを良くするだけで長時間のテレビ会議ははるかに楽になる
2020-12-09パソコンに少し細工をして、マイク入力にまともなマイクをつなぎ、スピーカー出力にまともなアンプとまともなスピーカーをつないでみた。おいおいこれはホントかよ、とびっくりするくらいの改善であった。もうすぐZOOMが当たり前のこととして使われる時代のパソコンが出てくるだろう。それはいいマイク、いいスピーカーの載ったものだ。それがどういうデザインになるかが楽しみだ。
#455 久しぶりにNHK
2020-12-09月曜日にNHKの収録があって、海外向け放送なので全部英語だった。ZOOMで英語を一日に何時間も話すような生活をしているので、なんとか2時間の収録は乗り切った。これからこういう企画が多くなって来るのだろう。ヨーロッパとアメリカを跨いだ時間の調整がどんどんややこしくなるので、自分の時計をGMT(グリニッジ標準時)を使うことにした。表記はZ1830のような感じ。慣れるのに時間がかかるのでは。
#454 年末を迎えて
2020-12-09この頃は時間の経つのが早く、この調子でいけば東大の退職なんてもうすぐだろう。この5年間の成果をこれからどんどん発表して行かなけれならないと強く思っている。
今年のビッグイベントは自分の50年間を振り返った「反省記」を出したことであった。発刊して100日経ったので、そろそろ反応は下火になり、会う人も本のことを話題にされなくなり、平常の状態に戻りそうである。もらった批判についてのコメントを書いたが、メールで慰めてくれる人もあり友人は本当にありがたいと感謝している。
#454 Apple M2 M3のびっくり
2020-12-09AppleがM1のCPUチップの次をリークしたみたい。コアの数が8から16コアになっているが、半導体のチップの上にはおそらく24CPUぐらい乗っていて、その中から動かないチップを外すと大体16に落ち着くのであろう。最高機種のコア数は24ぐらいか。こんなのが出てきたら、Windowsパソコンはどうなるのか。びっくり。Windows陣営の巻き返しが楽しみである。AMDが頑張って16CPUのモバイルや32CPU、64CPUの値段をさらに下げてApple対抗色を出すのであろう。その時Appleは、M3というチップを64CPUで出してくるのであろう。いずれにしてもユーザーはウハウハである。
#452 中華人民共和国と日本の本当の関係を考えてみた
2020-12-02バイデン大統領予定者の息子は中国と関係がよく、たくさん儲けさせてもらっている様だ。他国のことは他国に任せて、日本のことを考えてみたい。
日本が戦争で戦った相手は蒋介石が率いる中国国民党である。今その国民党は中国本土を追われて台湾にいる。中国国民党と戦ったのが毛沢東の率いる中国共産党である。教科書を読み直して確認している最中であるが日本の敵の敵は日本の味方ではないかと思うが、日本国と中華人民国政府との関係は交戦国であるか、そうでないのか微妙なところではないか。中国の国家主権は中国国民党から中国共産党に移って、その中国共産党とは交戦中ではないはずだ。尖閣列島のことで日本が中国と戦争になれば大変なことになる。戦争は力の競争であるが国際法的に戦争の宣言をし、交戦し、降伏すれば当然に国土は勝った方のものになる。
日本は663年の白村江の戦いにおいて唐と新羅と戦い負けている。そのあとどうなったかはあまり歴史書にははっきりと書かれていないが、相当なことがあったに違いない。そのあと太平洋戦争で日本が負けたときに日本はアメリカに占領され、どうなったかについてはたくさんの書物がでている。尖閣列島のことで戦うのであれば占領されて日本が終わるということまで覚悟しておかなければならないと思う。そうなったらアメリカは助けてくれるのだろうか。
#451 孫さんの次の一手を勝手に予測する
2020-12-02投資銀行にどんどんなっていっているソフトバンクの予測される次の一手は、ソフトバンクモバイルを売ることであろう、と僕は予測する。それを売りつける相手は楽天である。楽天電話とソフトバンクモバイルが一緒になれば、楽天は1位をめざすことができるのではないか。孫さんがARMを売ったみたいに現金1兆円とあとは株式でいいと言えば楽天は買うかもしれないと僕は思う。そして孫さんはアメリカに移住するか、タックスヘイブンに移住する。そして日本は偉大なベンチャー投資家を失うことになる。意地悪ばっかり書くマスコミは大嫌い。税金ばっかり取りにくる国税庁も大嫌い。サモアのようなタックスヘイブンで楽しくやりたいと60歳を過ぎた孫さんは思うのではないだろうか。
#450 現金8兆円を持っている孫さんの悩みを予測する その2
2020-12-028兆円の現金はどこの銀行に預金しているのだと気になる。会社のキャッシュカードをコンビニに持っていって、残高照会したらどんな風にでてくるのだろうか。
ソフトバンクグループ サマ ¥8,000,000,000,000
とでも出てくるのだろうか。元ZOZOの前澤氏が「桁が増えるとコンマがでてこなくなるんですよね。フフフ」と言っていたそうだが、見てみたいものだ。赤坂の彼女と一緒にATMに行ったら、彼女はぶっ倒れるかもしれない。僕なら笑ってしまうだろう。
余談はこれくらいにして、8兆円持っていることの大きな問題はソフトバンクのROAがどんどん下がっていくことである。ROAとはReturn On Assetといい資産が生み出す利益のことである。現金で持っていても金利は微々たるものである。だからソフトバンクは最近GAFAの株式などを買う様になったのだと思う。金持ちには金持ちの悩みがあるのだろう。
#449 現金8兆円を持っている孫さんの悩みを予測する その1
2020-12-02経済界やマスコミに批判されて孫さんが泣く泣く資産の現金化を行い、売れるものはなんでも売ったみたいだ。英国のARMも現金1兆円と株式3兆円で処分した。この背景を私は次の様に考える。
これからソフトバンクは社債などの償還期日を続々と迎える。この現金がなければ銀行もファンドも借り換えに応じようとはしないだろう。そうするとソフトバンクは資金不足に陥って、デフォルトして会社は清算しなければならなくなる。逆にお金を持っていれば社債は借り換えることが可能になり、償還危機は乗り越えることができる。孫さんは銀行や金融界に対して、お金はこんなにあるぜよ、と、啖呵を切りたかったのだろう。お金が8兆円あるぞと記者会見をしている孫さんの顔は勝利の微笑みで満ちていたような気がする。
#448 反省記が出て、早3ヶ月
2020-12-02反省記が出てあっというまに3ヶ月が経ってしまった。2万部ぐらい売れたみたいだ。たくさんお褒めの言葉をいただいた。同時にボロクソに批評もしてもらった。自分があの本に書いたことは自分にとっての反省であっても、いわば光の部分である。光があれば必ず影がある。あの本に対する辛辣な批判は僕に自分が作ってきた人に対するネガティブな部分を忘れてはいけないという重大な指摘であると思い、あの本が売れたことすら自慢してはいけないのではないかと思う様になった。複雑な気持ち。