nishi.org 西和彦のコラム

西和彦のエッセイ

#32 日の丸安全ケータイ電話

2015-06-26

フランス大統領3人が盗聴されていたという。ということは、 ドイツの首相も盗聴されていたのであろう。ということは、イギリスの首相もやられているのであろう。...ということは、日本の首相も電話は大丈夫か? と思ってしまう。もともとアメリカの標準の暗号システムに準拠して使われている情報機器はアメリカ政府がもっている暗号鍵を使えばすべて解読される性質のものである。HTTPSという表示が出るたびに私は誰かにこの通信が解読されているのであろうな、と思うことにしている。昔NTTが開発したといわれる、日本製の絶対解けない暗号アルゴリズムを実装した安全なケータイ電話をdocomoが作ってくれないだろうか。日本政府御用達になるための条件とはなになのだろうか。KDDIの前身はKDDであり、その前は国際電信電話と呼ばれた。政府の外務省と世界中の日本大使館との通話はKDDIが担当していたという。その歴史を考えるとKDDIも有資格会社なのかもしれない。ソフトバンクが名乗りをあげてもいろいろいう人はあるだろう。結局日本の安全保障を考えた通信はdocomoに頼むしかないのではないか。そういうVIP、防衛省、警察、首相官邸用の安全なケータイ電話はどういう機能を持つべきなのか、ということを考えてみたい。一番必要なことはすべての通話が録音記録されていることではないだろうか。万一なにかあったときにパンドラの箱を開けることができるようなシステムにしておくことがヤバいことをケータイ電話で話さないようにする唯一の方法ではないか。昔アメリカ政府の高官と話をしたときに聞いた話だが、ホテルの部屋に畳4畳の強化プラスチックで作った電話ブースを持ってきていると言っていた。もちろん天井も床も付いている。部屋で組み立ててアメリカ本国との電話はその部屋の中から暗号電話で行なければならないということなのだそうだ。彼は大統領の補佐官であったが当時はそれを見てやりすぎだと思っていた。が、アメリカは当時から世界中を盗聴していたのだなぁと今更ながら思う。

#31 二子玉川の蔦屋家電に行ってきた

2015-06-26

二子玉川のバス停のとなりにある蔦屋家電にいってきた。インターネットでもたくさん報道されているので有名であるが、カルチュアコンビニエンスクラブが運営しているTSUTAYAの一番最高級の電子グッズ、生活グッズのセレクトショップである。台湾の台北にもそういう店があったが、蔦屋家電の場合はスケールが違う。チラッと見に行くつもりだったのに2時間半も店にいてしまった。アイデアと想像力に満ちたいろんなデジタルグッズや家電と書籍や音楽やビデオが陳列されて売られていた。展示品を買うことができるMoMA(ニューヨーク近代美術館)のようである。代官山の蔦屋書店ができたときにとても驚いたが増田宗昭社長のイマジネーションはここまで進化したというべきか。展示品を売っている美術館だ。東京で一番おしゃれな百貨店は日本橋の高島屋と三越、新宿の伊勢丹であるといわれている。そのそれぞれの百貨店に時々行くが私のような情報世代にとっての百貨店になるのだろうか。一部の人たちだけが支持するセレクトショップで終わってほしくない。丸善なども店内のレイアウトを再考されてはどうか。ITOYAが文房具や知的生産活動の書籍を文房具の横で売っているような感じであった。情報としての本とその本が指し示す実物が並んで売られているということに強烈なインパクトを受けた。

時を同じくしてヤマダ電機がリストラで11店舗閉鎖という報道がなされた。家電の安売りの世界は厳しいようだ。プレミアム家電を扱う蔦屋家電はビジネスとして大成功を収めるのであろうか。その鍵は店員にあると思う。山ほどの商品知識を持った博物館の学芸員のような店員が客の質問に丁寧にしっかり答えることができる売り場であれば、大成功するであろう。ヤマダ電機の店頭に行って何を聞いてもほとんど答えてくれない店員や違う会社のものを薦める店員をみたらその会社からの派遣社員だったりする。インターネット時代にアマゾンや楽天でクリックでモノを買うというサービスの対極にヒューマンサービスを売り物にした店員が対応する蔦屋家電はインターネット時代のクリックに対抗する究極のモルタルソリューションであるといえる。この業態はなくならないであろう。こういうトンがったプレミアムセレクトショップを発案することができる増田社長の生活スタイルに興味を持ってしまう。どんな生活をしているのか幻冬舎のGOETHEややんちゃジジイのMADUROが特集を組んでくれたらいいのに。

#30 エンスーの次のテーマ:2人乗りマルチコプターと2人乗り潜水艇と2人乗り電気自動車

2015-06-16

メカと乗り物が好きだということで、私はエンスーと呼ばれるマニアである。一番最初に意識して乗せてもらった乗り物はブルトーザーだった。運転させてもらってとても嬉しかったことを覚えている。最初に乗った飛行機はグライダーだった。こんなものが空を飛ぶのかと疑問だったがいとも簡単に離陸して楽しかった。操縦は父だった。最初に船に乗ったときの記憶はないが、最初に自分で船舶を操縦した記憶は水上バイクであった。今はヘリコプターも船もほとんどのクルマもみんな売って通勤の足としての小さなクルマを主に乗っている。その意味では元エンスーと行った方がよいかもしれない。しかし今でも乗り物に興味はあるし、飛行機や船やクルマの雑誌は10冊ぐらい必ず買っている。

今欲しいと思っている乗り物は3つある。

2人乗りのマルチコプター。ドローンの技術を使ったプロペラが8つぐらいあるヘリコプターで、少なくとも数時間飛べるものであってほしい。自分で作りたいことろであるが、自分と同じことを考えている人も世界中にたくさんいるようであるし、1000万円以下で売り物は必ず出るだろう。それを輸入しようと思う。

ガソリンエンジンのクルマに長い間こだわって高速回転と低燃費のことを調べてきた。マツダのやり方、日産のレージングエンジンの取り組みなど、日本には素晴らしいエンジン野郎がたくさんいる。その開発の努力にいつも敬意を表している。しかし電気自動車がどんどんポピュラーになってきた。2人乗りの電気自動車を買いたいと候補を検討中である。テスラを買って乗るのは嫌だ。テスラを買って乗るは金持ち的で嫌なので、インホイルモーターをつけた改造車がいいと思っている。これは国産のものにしたい。

船に関しては、東京湾で船に乗っても全然面白くないということに気がついた。島がないからである。瀬戸内海をクルーズすることが楽しかった。関東ではもっぱら逗子葉山のあたりを水上バイクでウロウロしてきたが、これも飽きた。次は水上バイクのメカニズムが機密カプセルの中にはいった潜水艇が面白いと思っている。5メートルぐらい潜れてジャンプもできるような、イルカのようなボディーをした水中バイクが数社からでている。これを買ってきて乗ろうかと思っている。生き死にに関わることなので自作は、とりあえずは、考えないことにする。

大きな船、高いクルマ、大きな飛行機を買うことを考えたが、60近くになって自分の乗り物の趣味は自分の手の届く乗り物に落ち着こうとしている。でも手軽に飛べるということと、クリーンな乗り物、水上ではなくて水中を楽しむという新しい方向性で遊ぶための乗り物の開発に取り組んでみたいと思っている。

#29 ステレオの未来:2チャンネルの次は3.1チャンネル、その次は9.1チャンネル、その次は11.1チャンネル、最終は64チャンネル

2015-06-09

40年以上オーディオマニアをし、7年以上オーディオ機器の開発を進めてきた。最近その開発が完成しつつある。パワーアンプを作って、DAコンバーターを作って、スピーカーを作って、クロックを作って、パソコンプレーヤーを作った。長い開発のプロセスであった。CDのデータは16ビットで44.1kHzのデータ速度であるが、もっと機能の高いものをやりたいと思い、32ビット352kHzまでのスピードに取り組んでみた。そこまで取り組んでこれ以上の音はないと思った時にふと気がついた。オーディオファンが必要としているのは、32ビットの352kHzの音ではなくて、16ビット44.1kHzの音をいかによく再現できるか、ということの方がはるかに大切であるということに気がついた。いくところまでいかないと今のCDがどんなに大切なのかということがわからなかったわけである。だから、私が全力を挙げて取り組んでいることはCDの音から、32ビット352kHzに近い音に復元するということである。この技術が一番大切でないかと思う。

CDはステレオである。ステレオとは2チャンネルである。2チャンネルのステレオで未来もずっとこれでよいのかと思った。それは2チャンネルステレオの音を聞いて、その違いを比べることをなんども行ったときに気がついたことである。それは、ステージの音がステレオでは一直線にならんでいる。本物の音は2次元に分布している。この違いに最近気がついて目の前に2次元的に広がった音を聞く前に、3チャンネルのステレオの実験をしている。収録マイクを3本にして、センターマイクの位置はかなり高い位置まで持っていく方式である。これで録音した音楽は3chで再生してみて、今までとは全く違ったステージが再現できた。2が3になっただけでこんなにすごい違いになったのは驚きであるが、3だけでいいのかと考えて、部屋の四隅にエコーを再生するスピーカーを4つ、頭の上に、上からのスピーカーを1台つけることに現在取り組み中である。そうすると3チャンネル+4チャンネル+1、8チャンネルである。それに低音の0.1を加えて8.1。それにサラウンドの後ろを2本加えて、10.1。それにセンタースピーカーを加えて、11.1。私は2チャンネルのステレオがマルチチャンネルオーディオで5.1、DVDやブルーレイで7.1なったが、オーディオ用のマルチチャンネルとして11.1が主流になる可能性があると思っている。そのシステムは映画のサラウンドと共用できるスピーカーの配置になっていることが好ましく、水平面は5.1、その上がピラミッド型の5つのスピーカーとセンタースピーカーのさらに上のスピーカーの合計で5.1+5+1の11.1。

8Kのテレビのスピーカーは、22.2チャンネルだそうだ。ほんとにこんなたくさんのチャンネルがいるのであろうか。22以上の可能性はどうなのだろうか。最近64チャンネルのマルチチャンネルスピーカーのシステムを聞く機会があった。50本以上の全方向スピーカーとサブウーファーのミックスで各楽器が一つのスピーカーに割り当てられているシステムである。そのスピーカーの連立する林の間を演奏中にウロウロした。スピーカーが演奏しているときにステージの上を歩いているような感じがした。ホールで聞く音楽とくらべて、エコー。ホールの反射音が音楽についていなかったところが、違った。この64本のスピーカーをステージに設置して大ホールで音楽を聞くということをやってみたいと思うのは、私だけであろうか。実は64チャンネルはあるが1チャンネルが64本あるとういうことでちゃんとエコーがかかるシステムの1チャンネルの演奏、なかなか素晴らしいものになるという感じがしている。SPレコードをウエスタンエレクトリックの機器で再生するとちょうどこんな感じになるのではないだろうか。ということで1チャンネルから64チャンネルまでの音楽と映画を生むというのは興味深いし、私のライフワークの一つになりそうな気がしている。

#28 ソニーを潰したのはストリンガーだ

2015-06-02

ソニーの元社長の出井伸之さんが社長になる前から知っている。その出井さんが社長のときに一番評価していた外人がストリンガーだった。ストリンガーはソニー映画の立て直しのためにスカウトされた人物だったように覚えている。映画屋がソニーの社長になってソニーをズタズタにしたのだ。

私がソニーを評価しているのはいくつかの点がある。
一つ目は、トランジスタのライセンス生産を行いポケットラジオを作ったこと。
二つ目は、トランジスタを使ったマイクロテレビを作ったこと。
三つ目は、トリニトロンブラウン管を発明してトリニトロンカラーテレビを作ったこと。
四つ目は、ビクターと松下に負けたけどベータマックスというビデオカセットレコーダーを作ったこと。
五つ目は、再生専用カセットプレーヤーWALKMANを作り、ヘッドホンステレオの分野を確立したこと。
六つ目は、オランダのフィリップス社と共同でCDを作ったこと。
7つ目は、ゲームコンピューターPlayStationを打ち上げ、CDのついたPlayStation1、DVDのついたPlayStation2、BDのついたPlayStation3、インターネットに繋がるPlayStation4を完成させ、ソフトとハードの高収益連携ビジネスを展開したこと。

ここまでのソニーはピカピカの会社だった。ここからソニーの転落がはじまる。

一つ目は、DVDの標準化で松下に裏切られ、東芝に負けたこと。
二つ目は、サムソンと合弁でLCDの会社を作ってサムソンに技術を全部パクられて合弁撤退したこと。
三つ目、アップルにiPodを作られ、同じものがあったのにそれが売れなかったこと。
四つ目、エリクソンと合弁で携帯電話の会社をつくったのに、スマホを作ることができなかったこと。
五つ目、故障の多いパソコンを作り続けたこと。
六つ目、ミノルタを買ってデジタルカメラに力を入れたけど、GoProみたいなアクションカムを作れなかったこと。松下も4Kをやっていて、ソニーもしぶしぶ4Kをやっていたが、そんなものだれも買わない。なぜGoProだけが売れるのか。
7つ目、経費垂れ流しのソニー映画の経営。うまくいっているフリをしているが、ウィキリークスに出てきたソニー映画の内部はあきらかにおかしい。

ハードウェアの会社としてのイノベーションを続けてきたソニーが映画屋の間違った経営判断によって潰されてしまった。関連の証拠集めを今行っていて、ビジネススクールの講義に使うケーススタディにして、そのうちソニーの失敗を分析した本を書こうと思っている。シャープの凋落も独裁者の間違った判断であったように、ソニーの凋落も独裁者ストリンガーの間違った判断でこんな会社になってしまった。そのあとを任された経営者の苦悩は同情に値する。

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