nishi.org 西和彦のコラム

西和彦のエッセイ

#35 Windows10の次は、Windows10 TVか?

2015-08-25

持っているパソコンにWindows10をインストールしまくって、その動作を観察している。昔のCPUでは ダメなようだ。Dual coreのプロセッサーが最小最低条件のような気がする。これからバグが続々と直されて完成されたものになっていくのであろう。Windows10の最大のポイントはMicrosoftがOSビジネスを変えようとしているということだ。OSを1枚売っていくらから、OSの使用料がいくら、という風にビジネスモデルの転換をはじめたということであろう。とりあえず、MicrosoftのWindowsがタダになったが、タダほど高いものはない。無料期間が過ぎれば、有料にする理由はクラウドにファイルスペースが確保されているからである。Google driveもOne driveも基本的には無料であるが、One driveはWindowsにお金をはらった人に対して無料であって、One driveが無料ということではない。Windows10の次の名前は、毎月使用料の取られるパソコン、つまりWindows365ではないか。そしていったんOne driveとMicrosoft IDで決済口座が設定されてしまえば、Windows mobileやWindows TVなど、いろいろなコンテンツがお試し無料で提供されて、Windowsなしでは生きていけないような生活になるのではないか。

Office365などもある。アプリケーションソフトをレンタルしてOne driveと組み合わせ、作ったファイルを預かるサービスである。ビジネスベースでWindowsは圧倒的な優位を持つ。WindowsとOne driveの力を使って、この発想をいろいろな分野に展開していくのであろう。まず最初はWindows10 mobile。ノキアの製造部門をリストラして、1兆円近くの損を出した。このことによってノキア以外のメーカーがWindows mobileを使ったスマホを本気で作るようになるだろう。同時に、Microsoftは税金を納めずに済む。税金を納めないですんだ分で1兆円はとりかえすことができる。Microsoftが本当に欲しかったものは、AppleとGoogleに対抗できる特許群なのであろう。Windows mobileのスマホをハブとして、USBやBluetoothやWiFiでぶら下げたいろいろな機器がこれからのビジネスを作る。コンビニのプリンターに行ってプリント、コンビニのカメラでスキャン、をはじめとしてありとあやゆるものがインターネットに繋がって、そのデータはOne driveに集約されるのであろう。MicrosoftのIOT戦略の要はRaspberry Pi用のWindows10である。Raspberry PiのWindows10を通してアクセスする先は、One driveである。One driveにアップロードした音楽をIOTメディアプレーヤーやブラウザでクリックしたら音楽が聞けてしまう。そういうIOTベースの新しい商品群が続々と生まれてくるのであろう。Appleのどこを見てもAndroidのどこを見てもこういった戦略はない。Apple WatchはiPhoneのリモコンとディスプレイであってそれ以上でもそれ以下でもない。Apple WatchがiCloudに直接繋がったときに次のブレイクスルーがやってくる気がする。

パソコンもスマホも、もはや独立した個体ではなく、クラウドと通信で繋がった端末になってしまった。テレビとパソコンとスマホがクラウドに繋がって、インターオペラビリティ(相互操作性)が完成したときにAppleとGoogleとMicrosoftのシェアが大きく変わるのではないか。そのときの勝者はAppleでもMicrosoftでもGoogleのような単一会社がすべての分野でチャンピオンになるのではなく、どこかのクラウドと、どこかのパソコンと、どこかのテレビとどこかのスマホと、どこかのWatchなのであろう。私が考える勝者の候補は、クラウドはGoogleとMicrosoft、パソコンはMicrosoftとApple、テレビはAppleとYoutube。スマホはAppleとMicrosoft。WatchはAppleともう一社新規ベンチャー、なのではないかと思っている。

そのポジションをアメリカと日本と韓国と中国が争っているのではないだろうか。ヨーロッパは買った会社からWatchモジュールの OEM提供を受けて、エルメスとかルイ・ヴィトンとか、グッチのようなブランドをつけて高い値段で売るのだろうか。

#34 アメリカの日本に対する盗聴を知って

2015-08-06

「日の丸安全携帯電話」でなんとなく考えていたことは真実であった。しかもdocomoの携帯電話の通信の秘密はアメリカに破られていた。 それを「アメリカと日本は同盟国なのに同盟国同士でも盗聴をされて文句はいえない」などと言いだす人も出てきた。世の中は私が思っているよりもはるかにタフなようだ。そこで私は提案したい。政府の要人と思われる人にそれぞれ通信担当の補佐官をつけてその補佐官には陸上自衛隊の通信部隊から専門家を派遣してもらうことにしてはどうか。総理大臣が防衛大臣に頼む、というだけで自衛隊はそれぐらいのことをすぐにやってくれるのではないか。でもそういう積極的な政策をとらないで、「日本政府は携帯はアメリカ政府に盗聴されているからなるべく使わないように」というおふれしか出していなかったりして・・・

戦場で使われている通信システムは暗号化されている。特に米軍とNATO軍の暗号システムは共通で暗号鍵を変えることによってそれぞれのグループ内でしか通信できないシステムを構築できる。軍用トランシーバーには周波数ホッピングがつけられ、1秒間に数千回から数万回の速度で通信に使用する周波数を変更することができるようになっている。このホッピングの仕方を作戦毎に毎日変更している、と聞く。暗号を解くよりもこの周波数ホッピングを解くことの方が困難なのだろう。日本の軍用通信はどうなっているのであろうか。まさかアメリカのシステムを導入していないことを望むが、一応同盟国ということで、通信設備は同じ物をつかっているのではないか。表向きにはホッピングのキーを使えば、盗聴はできないとなっているのであろうが、マスターキーを使えば全部ダダ漏れになっているのではないか。日の丸通信企業が作った日本独自の暗号化システムを持った通信システムが必要ではないか。警察無線もそういう暗号化がされている必要があるのではないか。

現在こんなに広く浸透している携帯電話のインフラを使わずに政府が通信システムを構築することは困難なのであろう。よって通信担当の補佐官の背中に軍用通信機を背負わせ、首相や官房長官や大臣の横について回らせることは無理だ。結局残された方法は、携帯電話と携帯電話同士が毎回電話がかかったあとに暗号化セッションを貼り暗号化通話をするしかない。その暗号化のアルゴリズムは米国の決めた暗号システムではなく、日本独自の暗号化システムであることが必要がある。できれば暗号の解読に何十年もかかるような強い暗号であればよい。しかし、いったんこの暗号が悪人の手に渡り悪人同士が犯罪の話をするために使い始めたら困ったことになる。だから暗号システムというのは普通の人が暗号を解こうとするれば時間がかかり、マスターキーを使えば、瞬時に暗号が解けるシステムである必要があるのだ。docomoはそういうシステムを開発しなければならない。こんなに便利な通信システムが使われている現在、分、秒を争う国の政策決定が有線電話や手紙に逆戻りするようなことがあってはならない。

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