西和彦のエッセイ
#93 国家元首や王族と会うようになった孫さんのその後を勝手に想像する
2016-12-20孫さんの国際的な活躍がとまらない。サウジアラビアの副皇太子とともに、10兆円の投資ファンドをはじめるそうだ。トランプ次期大統領に会いに行ってiPhoneをホンファイといっしょにアメリカで製造することを申し入れにいったり、アメリカに5兆円投資をするといったり、ロシアのプーチン大統領に会ってロシアの電力を海底ケーブルで輸入したいと提案したり、世界をまたにかけて飛び回っていることが報道されている。アメリカ・ロシアに続いて次に会う人は中国の国家主席か、英国の女王陛下と、いろいろ考えてしまう。
以下は私の素朴な疑問。
1. プライベートジェットは何に乗っているのか。ビルゲイツの場合は、ボンバルディエ社 のGlobal Expressを出張のたびに2発飛ばしている。孫さんは自家用ジェットなのか。チャーターなのか。たいへん興味がある。機種は何なのであろうか。私が想像するには、ボーイングのBBCという737を改造したビジネスプライベートジェットではないかという気がする。
2. サウジアラビアと共同で10兆円のファンドをやるそうだが、そのうちの半分をアメリカにトランプと約束したみたいに投資するのだろうか。このファンドの本部はロンドンに置くらしいが、サウジアラビアとアメリカの関係は今のところよくない。そんなことをしたらサウジアラビアは投資をやめてしまうのではないか、と心配である。
3. 10兆円のお金を投資して、リターンはいつごろかえってくるのであろうか。おそらく最低でも5年、最長では10年以上かかるのであろう。そんなスローなペースでしかお金がかえってこなかったとしたら、投資家からの圧力はたいへんになるであろう、と心配である。
4. ロシアと電力の販売の共同事業をやって、アメリカといい関係でいることができるのか。ロシアはOKでも、アメリカはそんなことは許さないであろう。アメリカに潰されるのではないかと、心配である。
5. 日本のメガバンク3行は未だにソフトバンクに対して貸し出しを増やしていない。ARM買収でブリッジローンにみずほは応じたようだが、クレジットラインは変わっていない。孫さんの目下の資金源は個人向けの劣後債、つまり一番順位の低い社債である。このソフトバンクグループの日本の銀行の評価をどうするのか、心配である。
イギリスのベンチャーARMを3兆3千億円で買収したことの評価はエリザベス女王からSirの称号をもらうことができるかどうかがそのシグナルである、といっていいだろう。人間勲章や爵位にこだわるようになったらそろそろ終わりというが、孫さんの晩年はどうなるのか、お手並み拝見を楽しみにしたい。