nishi.org 西和彦のコラム

西和彦のエッセイ

#97 東京大学大学院 IoTメディアラボの開設

2017-03-31

この4月から東京大学でIoTとデジタルメディアの研究と教育をすることになった。

IoTについてはメディカル分野、教育分野、セキュリティ分野、環境モニタリングを中心に応用開発を行なっていきたいと考えている。大学の学部の学生と大学院の学生を対象としたプロジェクト学習(PBL)のコースを開講する予定である。

メディア研究の分野では16Kのビデオカメラシステム、16Kのディスプレイシステム、ハイレゾオーディオシステムなど、デジタルメディアを中心に開発を産業スポンサーをお願いして共同研究をすすめていきたい。

東京大学工学部機械工学科は歴史ある学科で大学生になりたてのとき、渡辺茂先生にコンピュータについて色々とご指導を受け、博士論文作成時には大橋秀雄先生にご指導を受け、20年以上続けて産業総論の講義を中尾政之先生にお世話になっている。また、西のエンジニアとしてのスタートは早稲田大学理工学部の機械工学科で ある。その意味で機械工学科、機械工学専攻でIoTを研究できるということになにか不思議な縁を感じている。

任期は65歳までの5年間あって、これまでの16年間は音楽系の大学でメディアとビジネスを教えていたので方向性をエンジニアリングに戻して今までの未完成のプロジェクトを世の中の役に立つ研究として完成させていきたい。

#96 IoTとセキュリティ

2017-03-07

インターネットの次の焦点はIoTである。モノが繋がるインターネットのことである。私はIoTを最近の研究のテーマとして選んでいろいろな開発を展開しているが、その中で一番重要と考えることについて述べたいと思う。

インターネットを経由して機械や生産ラインやクルマや建築物に対してコントロールすることができるようになっているのがIoTであるが、このインターネット同士の結合のセキュリティが今問われている。つまり、インターネット上の暗号化は、アメリカの政府が定めた暗号が使われている。アメリカの政府が定めた暗号というのは政府が持っているマスターキーを使えば一瞬にして解けるというものである。この暗号化スキームを使って例えば、原子炉の制御システムを構築すると、アメリカ政府に敵対する国や組織であれば政府が介入してそういうプロセスを止めることができる。日本の産業用システムの中にはすでにたくさんのアメリカが仕掛けたリモコン爆弾が組み込まれているとスノーデンは言っていた。飛行中の航空機は墜落するだろう。稼働中の発電所は暴走するだろう。だからインターネット経由で産業システム、軍事システムを構築するときには相当な対策が必要になる。日本国内のシステムであれば、それこそ絶対に解けないNTTの暗号を使った最強のシステムが必要となろう。それでも足りないかもしれない。また、中国やロシアとアメリカとの戦いは単にインターネットを使ったホームページのハッキングなどという代物ではなく、インターネットを使った社会システムの撹乱というのが、その主たる脅威となるのではないか。

インターネットと繋がるIoTデバイスのコントローラの9割以上はこのセキュリティに費やされなければならないのではないか。単なる8ビットのコンピュータでは足りないことは明白である。ARMの64ビットのCPUが内蔵されたコントローラが適当である。孫さんはこのことを考えてARMを買収したのかもしれない。

#95 4月からの新しい大学の仕事

2017-03-02

60歳になったので、去年の3月、17年勤めた尚美学園大学を退職した。退職したときにありがたいことに名誉教授の称号をいただいた。とりあえず、最年少の名誉教授なのだそうだ。称号のご通知のお知らせに大学の悪口をいったら称号を取り消す、犯罪を犯して刑事罰に処せられたときは取り消す、などなど。但し書きが書いてあった。いつ何時取り消されるわからない称号なので、名刺にはいれていない。

大学での仕事をもうやめるということではなく、次にどうゆう仕事をしたらよいのかということについて考えてみた。

1つは音楽芸術系の大学で引き続きマルチメディアを中心としたコンテンツのことを研究教育する。

2つ目はエンジニアリング中心の大学に戻ってインターネットとマルチメディアを研究開発教育する可能性を追求するということ。

3つ目はどこかのビジネススクールで、ベンチャービジネスを教えるということ。

この3つの可能性に加えて、本来ならば、IT関連の専門学校に関わるという話もあったが、地元の一人の議員の反対にあって断念した。今さらこのことを書いてもなにも誰も幸せにならないので、長くは書かないがそれはそれはひどい言葉で中傷された。インターネットで検索した情報だけをたよりに中傷するのはひどすぎる。 一人の議員の言葉は一人の言葉ではない。この議員に投票した数百人住民の声があるということを忘れることはできない。

短期的にはエンジニアリングの世界にもう一度戻りたいと思っている。今までのパソコンインターネット関連の積み残しの研究と開発を取り組んでみたい。また、長期的には音楽および映像の教育機関においてクラシックや次世代のコンテンツの開発にも、取り組んでみたいと考えている。エンジニアリングに10年、ミュージックとアートデザインにさらに10年、取り組めるようなこれからの人生であったらよいと考えている。

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