nishi.org 西和彦のコラム

西和彦のエッセイ

#118 トランプ大統領 訪日訪韓に向けて

2017-10-19

11月にアメリカ大統領が訪日訪韓する。日本は2泊、韓国は1泊といわれている。この訪問で北朝鮮問題は進歩するのであろうか。金正恩とのトップ会談は絶対にないだろう。北のトップがノコノコと出てくるわけがない。また北朝鮮にアメリカ大統領が訪問するということはセキュリティの関係上ありえない。そうすると日本のトップに会うためにわざわざ今頃日本に来るかというと、それもありえない。韓国の大統領に会いに来るかというと、それもありえない。残る可能性は極東において中国の習近平とロシアのプーチンとトランプが第二次世界大戦のポツダム会議のように集まって、ポスト北朝鮮の戦利品の分割交渉に来るということが無責任な予想として考えられる。安倍総理大臣もそのころには再選され、オブザーバーでトップ会談に出席してたりして。

アメリカの考えるオプションは大きく分けて4つあるそうだ。

一番目は、睨み合いを続ける。
二番目は、アメリカが先制攻撃をする。
三番目は、北朝鮮が先制攻撃をする。
四番目は、北朝鮮国内でクーデターが起こる。

これらそれぞれに、また数種類のオプションが存在する。現在の国連の制裁で注目しなければいけない点は、金正恩の海外個人ドル資産5700億円は凍結されていないということ。世界中の北朝鮮関係の会社や政府高官の資産はすべて凍結されているのに本人の資産は見逃されている。これはアメリカが金正恩に対して問題の解決を求めているという最大のジェスチャーであると思う。

二番目のオプションであるアメリカの先制攻撃は今までのアメリカの戦争を見ているとよほどのことがない限りないであろう。もちろんアメリカは、アメリカ本土やグアムやハワイや同盟国が攻撃されれば反撃する。反撃の内容については一瞬にして北朝鮮を壊滅させるシナリオなのであろう。

つまり、トマホーク2500発で北朝鮮の軍事拠点を破壊。

次にEMP爆弾を平壌上空で破裂させ電磁気攻撃で電気情報インフラを破壊。ソウルも巻き添えになるがそれはやむなし。

つぎに地下150メートルにある金正恩のシェルターについては、おそらくアメリカは設計図はすでに入手しており、その複数のシェルターに対してMOABを連続して2発、合計地下100メートルまで穴をあけ、そこに戦術核爆弾を投下するだろう。これによって少なくても150メートルにあるシェルターは一瞬にして溶けることになる。3発目は核爆弾だと予測する。戦後3発目の人を狙った核爆弾がアジアで投下されることになれば悲しい。

先日北朝鮮の高官がロシアを訪問したという報道があった。美人のおねえさまでとても軍事的な打ち合わせのために訪露したような感じではなかった。テレビを見ていて私はこの人は金正恩が亡命するための不動産をロシアに買いに行ったのではないかと直感した。万一のときにロシアに亡命して残りの人生を過ごす場所の確保のためである。そういう風にいうとプロにバカにされるであろうか。

北朝鮮の先制攻撃はよほどのことがない限りないだろう。相互確証破壊(MAD)という核を使ったら必ず核によって潰されるということだ。

四番目のオプションのクーデターの可能性については短期的には難しいが長期的には健康を害して病気になることも含めて可能性は高い。アメリカの今までのやり方は敵国内の反動勢力に資金援助を行い、クーデターを誘発することをやっているのであろう。北朝鮮へのチームの派遣とは現地人のリクルートを主な任務にしているのかもしれない。

そういう色々な要素が準備されたので、いよいよトランプ大統領が現地に乗り込んで中国とロシアとアメリカの会談をするのではないかというのが私の分析である。北朝鮮は大国の代理戦争の舞台になるのだ。

#117 究極の価値観は好きか嫌いか

2017-10-02

株式公開企業の社長だったときに、さる省の事務次官と話す機会があり聞いたことがある。そのとき私は「官僚と政治家の違いはなんなんでしょうか」と聞いた。そうしたらその次官殿は「官僚はロジックで動かなければならない。政治家はロジックではなく、好き嫌いやしがらみで動いてよい。」と話された。なるほど名言であると思った。国民がその地方選出の政治家に陳情する。そうするとその政治家は自分の選挙区に利益誘導を行う。公平性の原則は政治にはない。そんなことを事務次官が自分の出身地にすればたいへんなことになる。私は森友も、加計も、通常の政治判断であるならば大騒ぎすることではないと思うのである。報道を聴きながら、「ああ、やっぱりな」とガッカリしたのであった。

日本を代表する大企業の新年会に知り合いが行くと言うので、中興の祖とよばれる実力会長に質問してくれとお願いしたことがある。「御社の究極の人事の基準はなんですか」と。答えは「そりゃもう、好きか嫌いかに決まっとるやろ」ということであった。元旦の日に会長宅でお屠蘇が入った席での話である。「常務や専務は違うけどな。実績がすべてよ。」ともおっしゃったそうだ。日本を代表する大企業にして好き嫌いが大切と。政治家を選ぶ基準は好き嫌いでいいのではないか。希望の党の受け入れ基準は代表の好き嫌いで決まるという感じがする。

#116 マスメディアの正体を考える

2017-10-02

総理大臣が出演したニュースショーで、番組の演出が司会者に「モリカケ」に誘導と指示をした映像がインターネットに出回っている。私は放送で観ていて、久しぶりにソファーから転げ落ちた。蓮舫がスパコンにケチをつけたとき以来である。いったいどうなっているのか。

10年以上も前に大新聞の本社のレストランで大新聞の編集担当の役付役員から聞いた話。「うちは東京大学法学部政治学科の上位の学生を必ず採る。やがて同級生は高級官僚になり日本の政策を考える。そんな奴に大学時代にノートを貸してやり、そんな奴より勉強ができれば、そんな奴が作った政策に『大したことない』と堂々と文句がつけれるわけである。 」 私はそれを聞いてすごいなぁと感動したものだ。しかし、最近ではその大新聞に東大生はもはや就職しないみたいだ。しかし、編集局のなかには依然として東大法学部がうじゃうじゃ。そういう人たちにとっては、私立大学出身の総理大臣は侮蔑の対象なのであろう。どこの大学を出ていようとも、たとえ小学校卒業でも一国の総理大臣である。尊敬をし尊重しなければならないのではないか。総選挙のときに池上彰や富川悠太や安藤優子や木村太郎などは、総理に失礼なことを言うことが正義だ、ジャーナリストに許された特権だと思っているようだ。同じことを北朝鮮で言ったらその場で射殺になるのに、この国は平和な国で総理大臣は淡々と答えるだけであった。橋下徹のように失礼なものには「失礼だ」と言えばいいのに。

失礼な発言をし、売られた喧嘩を買って言い返すと「祭り」がはじまる。インターネットなどではアクセスがうなぎのぼりに上昇する。テレビでも放送事故と呼ばれて録画が出回る。ジャーナリストの大義を掲げて実はアクセスをあげるための方策を実行しているにすぎない。インターネットの時代になって誰もがなんでも発信できる時代になって、ブログやツィッターが全盛である。強烈な伝播力を持ったインターネットに対して、テレビはどんどん下品になっていく。そうするしか視聴率を維持できないのだ。ニュース番組はニュースショーになり、エンターテイメントになった。読み上げるだけのアナウンサーはもはや人気がない。久米宏や古舘伊知郎が先駆けである。ビートたけしはすべての意見を茶化して言うことでそのキツさを誤魔化している。あらゆることにコメントをするコメンテーターという仕事もできてしまった。新聞は縮刷版で記録が残るので滅多なことは言えないが、テレビは基本的に消え去るのみである。録画している人はそれでも少ない。だから何を言ってもいいのだ。BPO(放送倫理・番組向上機構)は活動しているが、何の強制力もない。言論の自由に守られているのだ。名誉毀損は公益の優先には負ける。

ニュースショーなどに招待されて発言するのがコメンテーターである。政治専門、経済専門、ゴシップ専門、報道専門、法律専門、野球専門、なんでも専門など、様々な分野の人が活躍中である。常連になって威張っている人が増えてきた。あまり酷いことや広告主に逆らうような発言をするとすぐクビになる。クビになったら、そのあとはインターネットで吠えるしかない。でも、よっぽど下品なことを発言しないと注目されないので、どんどん下品になっていく。このコメンテーターという職業がこれからもっともっと伸び、ただのコメントだけでなく世論を牽引していくような人物が登場するのではないか。

この度の衆議院議員選挙は新聞とテレビの祭り度合いが注目されるであろう。開票時の特別番組を誰がキャスターで仕切るのかが楽しみである。池上と木村と安藤と富川が上目線で仕切るのか。選挙運動中にテレビがどのように選挙誘導を行うのかも注目したい。放送法に定める政治的中立はどうなったのであろうか。偏向はインターネット上に永遠に残る。

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