nishi.org 西和彦のコラム

西和彦のエッセイ

#126 SACDは死んだのか殺されたのか

2017-12-26

ソニーがSACDのデコーダーのLSIの生産を中止するようだ。つまりSACDがかかるプレーヤーは生産できなくなる。中古のSACDプレイヤーが値上がりしそうだ。しかし、このことでSACDはゆっくりとなくなるフォーマットになりそうだ。

SACDの中は1ビットのDSDというフォーマットで、2.8メガビット毎秒の速度である。音質はCDに比べて少しよい。最近デジタルファイルで使われるデジタルフォーマットは5.6メガや11.2メガのDSDが多くなってきている。2.8メガのSACDは暗号化されておりハードディスクにデジタルファイルとしていれることは難しい。だから静かにSACDを殺して、2倍や4倍のオーディオファイルに移行しようとしているのだろうか。

このことは同時にCDの永遠化も意味する。16ビットで44.1キロヘルツの速度で記録された音楽をどれだけ忠実に再生することができるかが、引き続きオーディオ業界のテーマであり続けるのであろう。

#125 不動産の市場を考える

2017-12-26

マスコミはオリンピックまでに不動産の暴落があるという。このことについて業界の人に話を聞く機会があった。たいへん面白いので紹介したい。

東京の不動産価格は高すぎるそうだ。バブルのときを超えているそうだ。だから東京の不動産は必ず暴落する。時期は2018年か2019年のどこからしい。

大阪の不動産はまだ安く、市場が暴落してもそんなに落ちないだろう、ということ。

京都の不動産は圧倒的にまだ安く、京都へのインバウンドの旅行客は増え続けており、たとえ暴落があっても京都の不動産だけは上がるということだ。

下がる場所があれば上がる場所もある、という予想が面白いと思った。

#124 スパコンベンチャー社長逮捕に思う

2017-12-14

先日日本のスパコンの先端企業の社長が東京地検特捜部に逮捕された。久しぶりにびっくりしてソファーからころげ落ちた。国の補助金を詐欺したということだ。森友と同じ罪状であるが、森友は新聞社が騒いでいた。スパコンは検察が口火を切った。ベンチャーであるといっても国策企業みたいなもので、これからもっとどんどん頑張ってもらわなければならない会社なのに、「なぜ?」という気持ちが拭えない。

私が問題にしたいのは、これからあの会社をどうしたらよいのか、ということである。逮捕された社長はおそらく無罪を求めて裁判を最高裁まで続けるであろう。その間に会社のスパコン開発はどうなるのであろうか。お国からのお金をもらわなくして開発は続けられないであろう。開発の指揮ができる技術者はいるかもしれないが、会社を経営していく経営者はどうするのであろうか。

スパコン世界一が目的ではない。スパコン世界一は競争の結果である。この会社の目的はスパコンを作って世界中に売ることではないか。スパコン競争に一番になることが目的のように思われていたりする。

かつて富士通がアメリカにアムダールという会社とともに大型のIBM互換機を販売していたことがある。日本のコンピューターの海外進出としては大成功したが、こんなことをやってのけたのは富士通と日立だけである。その後日立はアメリカから撤退し、富士通はパートナーとしてデータベースの会社オラクルと組んでデータベースコンピューターをたくさん売っている。誰も詳しく報道しないが、オラクルの売っているデータベースマシンは富士通の作ったスーパーコンピューター「京」がベースになっているのではないだろうか。誰が考えてもわかる。

このスパコンベンチャーの一番大きなチャレンジは、政府のお金で作ったスパコンをアメリカのどこかのパートナーを通して世界中にたくさん売ることではないか。そんなことを一生懸命考えなければならないときに、たとえ悪いことをしたからといって、しょっぴくのは国益に反すると思う。

私はこのスパコンを福島の電力価格優遇地域に置いて電子マネーのマイニングをすることが面白いのではないか、と考えている。1キロワットアワー=3.8円の中国でも電子マネーのマイニングは撤退が続いているそうだ。スパコンの用途にいいかもしれない。

この会社の顧問をしていたジャーナリストを失脚させるためや、総理大臣や他の政治家を追求するためにこの社長が逮捕されたのであれば、その真相を知りたいと思うのは私だけではないと思う。

#123 北朝鮮問題の落としどころを考えてみた

2017-12-14

北朝鮮は本当に独立国なのであろうか。核武装しているという意味では、北朝鮮の指導者金正恩の意思が国家の意思なのであろうが、そうともいえない。北朝鮮の核武装を手伝っている国がある。それが中国とロシアである。その意味で北朝鮮問題はアメリカと中国とロシア問題ともいえる。この観点から北朝鮮問題がどこに収束すればよいのかを考えてみたい。

第1のオプション 中国が北朝鮮を支配する。チベット自治区のような感じになれば、核の問題は解決する。中国は核兵器を持っている国だからである。中国北朝鮮国境に橋がたくさん存在し、国境の中国側には中国軍が2000人といわれているが、20万人の誤りであろう。

第2のオプション 最近北朝鮮を応援してる国家の筆頭はロシアである。南下していきたいロシアと、習近平に冷たくあしらわれている北朝鮮の思惑が一致しているのであろう。しかし、今のロシアに今のプーチンにクリミア併合のような思いきった行動に出ることができるのであろうか。この前亡命先の別荘と島を買いに行ったので、ロシアとはいい関係は続くであろう。

第3のオプション 韓国と北朝鮮が悲願の統一をするということも考えられる。韓国が主導権を持てば「大韓国」北朝鮮が主導権を持てば「大朝鮮」、もしくは「大高麗」という名前になるであろう。しかし、ひとつになるには膨大な資金の裏付けが必要になる。そのスポンサーは中国なのか、ロシアなのか、アメリカなのか、日本なのか、ここのところを考えると関係国の意向がすべてを決めるのではないか。だから合併よりも関係国は北朝鮮分割を望むのではないか。

そのあとに考えられる現象のなかで一番大きいのは中国の経済の失速である。今まで何度か中国経済が失速するといわれてきたが、政府の必死の買い支えによってなんとか切り抜けてきた。あと数回しか支える体力はないのではないか。中国が経済恐慌に突入すれば、北朝鮮問題は新たな段階を迎える。

中国は
1、韓国から国連軍としての米軍に出ていってほしい。2、東シナ海、南シナ海から米軍に出ていってほしい。
3、日本海に向けた軍艦の出口がほしい。
以上が、北朝鮮を手に入れるより実現したいことではないだろうか。胡錦濤のような北朝鮮とのよい関係はもはやなく、習近平の冷たいあしらいが何の意図を持ってのことかが、やがて明らかになるだろう。

nishi.org

〒110-0005 東京都台東区上野7-11-6 上野中央ビル 2F
phone:03-5827-4115 / fax:03-5827-4116 / e-mail:info@nishi.org